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アンドロイド:ネットランナーの禁止制限改定-スタンダードMWL 3.3 (2019年7月19日より有効)

注意:この記事の禁止制限ルール MWL は最新のものではありません。上記タグ「禁止制限改定」をクリックし、最新のものを参照してください。

MWLとは

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MWLとは、アンドロイド:ネットランナーにおける禁止と制限のルールです。スタンダード・フォーマットとエターナル・フォーマットのそれぞれのMWLが個別に更新されます。

そのフォーマットにおいて禁止(もっぱら「除外/removed」と表記されます)のカードは、そのフォーマットのデッキに1枚たりとも入れることができません。

そのフォーマットで制限のカードは、デッキにそれぞれ1種類だけ、上限枚数まで望む数を入れることができます(IDであれば1枚、そうでなければ3枚までとなります)。


スタンダードやエターナルといったフォーマットについては、こちらも参照してください。
removeanddiscard.hatenablog.com

ソース

nisei.net

覚書簡易訳

はじめに
  • エターナルでMWL変更はなし。
  • 現在はランナーが圧倒的に有利。勝てるコーポは一握り。比較的健闘しているのは《Argus Security》《The Outfit》《Gagarin Deep Space》ぐらい。
  • ランナーとコーポを五分五分にするには大きなテコ入れが必要。コーポのいくつかのカードを制限解除する。
  • 上位の派閥の多様性のためにも、ランナーのカードに禁止や制限を加える。
  • コーポがこれだけ弱いといえど、それでも特定のデッキには問題がある。そのようなデッキが環境を支配するのを防ぐ。
概観

ランナー:
Au Revoir》、《企業の『助成』/Corporate “Grant”》《Power Tap》《Tech Trader》は制限リストへ。
《Crowdfunding》は禁止リストへ。

コーポ:
《SIU》と《Zealous Judge》は制限リストへ。
サーベイヤー/Surveyor》と《Excalibur》は制限解除。

解説

《Crowdfunding》:最も激しく困難な議論の末に決定した。ランを喚起するデッキが優れているということはメタが健全であるということだが、リアニメイトはやりすぎ。クリミナルのデッキの制限枠はこのカードがデフォだし、アナークもまずこのデッキに影響コストを9支払ってる。コーポとランナーのあいだの経済格差を解消するカードが刷られたら解禁します。

《Tech Trader》《Au Revoir》《Power Tap》:これらの「するたび」の能力は従来の経済カードに依存しないクレジットエンジンを構築するので楽しいが、速やかにセットアップできてしまうと(だいたいのデッキでは速やかにセットアップしてます)、莫大な利益をもたらし、コーポはもう勝てません。特に《カボネサ・ウー》は1ターンで《Au Revoir》を3枚ともインストールできちゃう。《Laamb》と《Ankusa》のコンボでアイスをバウンスさせるのも駄目な。《Tech Trader》を制限すると《Hayley Kaplan》のアーキタイプがひとつ消えるし、《Armand "Geist" Walker》も意図せぬダメージを受けるが、Uprisingのカードが解決するから安心しろ。

《企業の『助成』/Corporate “Grant”》:現状/current全体への対処はもう少し時間が掛かるが、いくつかのクリミナルデッキを弱体化させるためにこのカードを制限します。クリミナルには他にもコーポの現状/currentへの対策がある。

サーベイヤー/Surveyor》:制限解除にいろいろ意見はあるだろうけど、グレイシャーデッキがいま勝ててない。この解除は《Crowdfunding》同様に一時的な変更になる可能性がある。《テ”ウ”ィット”/D4v1d》がスタン落ちするので、そうなったらまた《サーベイヤー》も制限かも。

《Excalibur》:グレイシャーを強化したい。アンフェアカードにも見えるが、影響コストが少ないAIや擬似的にAIとして使えるアイスブレイカーがいま強いから、ランナーに対策はある。

《SIU》《Zealous Judge》:最近のトーナメントで大人気の《Gagarin Deep Space》に入る。パワフルで無慈悲なこのコンビはほとんどのランナーを封殺する。だいたい5ターン目までに封殺する。コンボパーツをトラッシュしにいくと《強烈なニュース/Hard-Hitting News》が飛んできます。《SIU》は「直前のターンにランされている場合にのみ」じゃないし、《Gagarin Deep Space》には《SIU》のトレースにいつでも勝てるだけの経済基盤がある。あと、このコンボは非常にムカつく。対話性のないコンボキルは禁止。

検討されたが今回は見送り

みんな現状/currentが大嫌いなのでなんとかしたいけど今回は時間がなかった。

《アウマクア/Aumakua》と《エンゴロ/Engolo》強すぎ。《Excalibur》が残ってるから今回は見逃すけど。


3.2から変更された箇所は太字。

スタンダード:コーポ - 禁止

  • Jinteki: Potential Unleashed
  • 24/7 News Cycle
  • セレブラル・イメージング:無限の開拓地/Cerebral Imaging: Infinite Frontiers
  • Bryan Stinson
  • Clone Suffrage Movement
  • Friends in High Places
  • Hired Help
  • Museum of History
  • 感応放画俳優協会/Sensie Actors Union
  • Mumbad City Hall
  • ムティ・ムウェクンドウ:生命の改良/Mti Mwekundu: Life Improved

スタンダード:コーポ - 制限

  • Bio-Ethics Association
  • Excalibur
  • Global Food Initiative
  • Mother Goddess
  • Mumba Temple
  • オボカタ・プロトコル
  • SIU
  • サーベイヤー/Surveyor
  • 黄埔開拓/Whampoa Reclamation
  • Zealous Judge

スタンダード:ランナー - 禁止

  • Aaron Marrón
  • ブルー・ムース/Bloo Moose
  • Crowdfunding (旧制限)
  • ファウスト/Faust
  • Hyperdriver
  • 火星は火星人の手に/Mars For Martians
  • 回収済みヴァナディス武器庫/Salvaged Vanadis Armory
  • Şifr
  • Tapwrm
  • テムジンとの契約/Temüjin Contract
  • Watch The World Burn
  • ゼロ/Zer0
  • 従業員のストライキ/Employee Strike
  • GPI Net Tap

スタンダード:ランナー - 制限

  • イソップ質店/Aesop Pawnshop
  • Au Revoir
  • 企業の『助成』/Corporate “Grant”
  • Crowdfunding
  • Dorm Computer
  • Film Critic
  • Gang Sign
  • インバーシフィケイター/Inversificator
  • レヴィAR研究所へのアクセス/Levy AR Lab Access
  • 猛突進/Mad Dash
  • ペーパークリップ/Paperclip
  • Power Tap
  • Tech Trader
  • Rumor Mill
  • ラーンブ/Laamb
  • Labor Rights

次回更新

今年9月の予定。

アンドロイド:ネットランナーの英語版のみのカードを紹介:第2回 - Bryan Stinson ~ 捨て札を手札のように扱いそのコストをすべて踏み倒す禁止カード ~

他のカードゲームを見ていくうちに、「捨て札のことを手札であるかのように扱うカードは危険」「コストを踏み倒すカードは危険」「カードタイプが適切でないカードは危険」といったことが分かってきます。《Bryan Stinson》はそれらすべてを満たし、そして禁止されました。

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Bryan Stinson

《Bryan Stinson》
強化:人物



ランナーが6f:id:fobby:20180521144018p:plain未満所有であるかぎり、Bryan Stinsonは「f:id:fobby:20180521144012p:plainアーカイブにある取引の任務1つを、すべてのコストを無視してプレイする。その取引をトラッシュするかわりに、ゲームから取り除く。」を得る。

なぜこんなに簡単に発動できるのでしょうか。ランナーのクレジットプールが5f:id:fobby:20180521144018p:plain以下である状態にかぎり……という、特に意識しなくても達成できる条件を満たせば、「f:id:fobby:20180521144012p:plain, アーカイブヘッジファンドをゲームから取り除く:9f:id:fobby:20180521144018p:plain得る」という法外な能力を得ます。

なぜ強化なのでしょうか。このカードを実際に使ったり使われたりした人が一番理不尽に思う部分が、このカードが強化であることだと思います。コーポは彼を引いたらとりあえず中央サーバーの防衛に便乗するかたちでルートにインストールして、ランナーが5f:id:fobby:20180521144018p:plain以下所有の状態になるまでじっくり待つことができました。

なぜトラッシュコストが5なのでしょうか。払えません。まあ自分の所有が5f:id:fobby:20180521144018p:plain以下にならなければいいわけで、放置してもいいか……などと甘く考えているランナーは《経済戦争/Economic Warfare》に泣きます。

なぜプレイコストを踏み倒せるのでしょうか。アーカイブの取引をそのままプレイできるだけでもよかったのに。いったん目覚めた彼の能力でコーポが1ターンに30f:id:fobby:20180521144018p:plainくらい得るのはザラでした。もし返しのターンでランナーが所有5f:id:fobby:20180521144018p:plain以下の状況から脱せなかったら……。


なぜ?なぜ?なぜが止まらないカード。そんな彼と最も相性がよかったと言えるのが、これまた英語版のみの取引、《Ultraviolet Clearance》ではないでしょうか。

f:id:fobby:20190702210434p:plain
Ultraviolet Clearance

任務:取引 - トリプル



この任務をプレイするための追加コストとして、f:id:fobby:20180521144012p:plainf:id:fobby:20180521144012p:plainを消費する。
10f:id:fobby:20180521144018p:plain得て、そしてカードを4枚引く。カードを1枚インストールしてよい。
(CR 1.2によるエラッタ適用)

f:id:fobby:20180521144012p:plainf:id:fobby:20180521144012p:plainf:id:fobby:20180521144012p:plainをまとめて消費するのはなかなか大変だったので、あえてディスカードフェイズで《Ultraviolet Clearance》をアーカイブに送り、《Bryan Stinson》でプレイコストと追加コストを踏み倒したものでした。ランナーにとってはたまったものではありません。

《Bryan Stinson》は晩期FFGによって制限カードに指定されました。晩期です。なぜか長いことお咎めなしだったと記憶しています。ともあれ制限は効果的で、その時点でほぼ使われなくなるほど使用率を落としました。その後、NISEIがスタンダードで禁止カードに指定したことで完全に表舞台から姿を消します。

彼はフレーバー的には「会社でなく個人の名義で取引を行うことを強いられ、いざという時はウェイランドにすべての責任をなすりつけられる男」という人物なのですが、そのとおりになってしまいました。でも私は、ときどき彼が恋しくなります。さっきの《Ultraviolet Clearance》のような、「踏み倒しでプレイされることを前提とした高コストのカード(そして実用的でもある)」というのはあまりこのゲームにないと思うんですが、そのような慎ましやかなゲームの中でのあの、冒涜的といえる踏み倒しには麻薬的な気持ちよさがありました。

アンドロイド:ネットランナーの英語版のみのカードを紹介するシリーズ第1回: Film Critic

f:id:fobby:20190627102206p:plain
Film Critic

リソース:コネ



Film Criticは計画書を1つ搭載できる。
計画書にアクセスするたび、その計画書をFilm Criticに搭載してよい(計画書はもうアクセスされておらず、そしてそれはアンインストールされている)。
f:id:fobby:20180521144012p:plain, f:id:fobby:20180521144012p:plain:Film Criticに搭載されている計画書1つを、君の得点エリアに加える。

計画書は自衛能力を持つことがあります。たとえば《オボカタ・プロトコル/Obokata Protocol》の「これを盗むための追加コストとして、4ネットダメージを受けなければならない」や、《未来完了/The Future Perfect》の「これにアクセスした時、0f:id:fobby:20180521144018p:plainか1f:id:fobby:20180521144018p:plainか2f:id:fobby:20180521144018p:plainを両プレイヤーは同時に支払う。金額が一致しないなら、盗まれることは妨害される」など。ランナーにとっては本当に厄介です。

そのような計画書のテキスト枠をガン無視するのが、SanSan Cycle「Old Hollywood」収録の《Film Critic》。一見わかりにくい能力ですが、要するに計画書が持つ「この計画書にアクセスした時」とか「この計画書を盗むための追加コストとして」とか「計画書が盗まれた時」なんかをみんな無視して、アクセスした計画書を自分のリグの《Film Critic》に搭載してよいという驚きの能力なのです(搭載はノーコストで出来るというのもすごい)。あとは自分のターンの好きなときに2クリック支払えば、その計画書はランナーの得点エリアへ加えられます。加えられただけ、つまり盗まれたわけではないので、ここでも計画書の「盗まれた時」の効果を無視します。

《Film Critic》がメタれるカードはそれこそたくさんあります。《ジンテキ:個人改革/Jinteki: Personal Evolution》は1ネットダメージを与えられず、《懲罰的反撃/Punitive Counterstrike》のミートダメージに加算されず、《南サハラ同盟の承認/SSL Endorsement》の上にクレジットは乗らず、《イカワー計画/Ikawah Project》を意識して1クリック残してランする必要もなく、NISEIの作った《SDS無人偵察機展開/SDS Drone Deployment》のためにプログラムをトラッシュしなくていいなど……。

対するコーポは、今に至るも《Film Critic》に有効な対策を持てていないのです。リソースやコネをトラッシュするカードはいくつかあるにはあるのですが、メタカードなのでデッキに入れることはためらわれますし、それらは基本的にアド損を招くように設計されています。だいたい、トラッシュしたところで、ランナーのデッキに《Film Critic》が2枚以上入ってる可能性も十分あるんですよね。ユニークカードじゃないですし。制限カード枠のライバルだった《従業員のストライキ/Employee Strike》が禁止となったので、《Film Critic》はこれから環境に増える可能性があります。

それにしても、なぜ名もなき映画評論家にこれほどのパワーがあるのかが謎です。やはりハリウッドの国で映画の評論を生業にする人々にとっては、4ネットダメージを踏み倒すのもコーポに9クレジット入るのを防ぐのも容易ということなんでしょうか? と思いきや、NetrunnerDBのカードレビューでも「フレーバー的にどういうことなのか不明」ってあるな……。