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『アンドロイド:ネットランナー』fan site

アンドロイド:ネットランナー解説(第2版も対応):迂回/bypassとは

初プレイ中、「迂回ってなんだ?」と思われた方へ。

迂回とは、ざっくりどういう意味?

  • 基本セット(第2版を含む)における迂回とは、ランナーがエンカウントしているアイスの持つサブルーチンや「このアイスにエンカウントした時」の能力を無視して、ただちに通過することです。
    • 基本セット以外のカードを用いて迂回する場合、迂回したランナーが「このアイスにエンカウントした時」の効果を無視できない場合がありますが、これは現状では日本語環境において発生しません。

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サーバーを守っているアイスにエンカウント。でも、ブレイクはたいへんだ!

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迂回しちゃえば、エンカウント時の効果も、サブルーチンも無視。ランは成功!


迂回効果をもたらすカードとは?

  • 基本セットでは、《内部犯行/Inside Job》《ファム・ファタル/Femme Fatale》です(初版と第2版のどちらにも含まれています。)。クリミナルはアイスを迂回するのが得意なようです。なお、《ファム・ファタル/Femme Fatale》で迂回を行う際、アイスブレイカーとしての強度を迂回対象のアイスに合わせて上昇させる必要はないことに気をつけてください。

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迂回について、もう少し詳しく。

  • ランナーがエンカウント中のアイスを通過する手順から説明します。まずそのアイスが「ランナーがこのアイスにエンカウントした時」の発動能力を持っている場合、ランナーはその効果を解決しなければなりません。次にランナーはアイスブレイカーの強度を必要であれば上げ、そしてそのアイスのすべてのサブルーチンをアイスブレイカーによってブレイクするか、もしくは解決する必要があります*1。ですが迂回すれば、これらの一切を行うことなく、エンカウント中のアイスをただちに通過することができます。


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エンカウントしたアイスは《トールブース/Tollbooth》。コードゲートで、強度は5。サブルーチンは「f:id:fobby:20171230005511p:plainランの終了。」が1つ。リグにインストールしてあるデコーダーのアイスブレイカーは《ゴルディアン・ブレード》。さあ、このアイスを通過するぞ!

まず《トールブース/Tollbooth》のエンカウント時の効果を解決するため、ランナーは3f:id:fobby:20171229231623j:plainを払う。次にアイスブレイカーの強度を5にするため、もう3f:id:fobby:20171229231623j:plain払う。最後にアイスブレイカーでサブルーチンを1つブレイクするため、1f:id:fobby:20171229231623j:plainを払う。合計7f:id:fobby:20171229231623j:plainを払って、《トールブース/Tollbooth》を通過!やった!ランの成功!

これが通常のエンカウント時処理です。《ゴルディアン・ブレード/Gordian Blade》は、デコーダーとしてはコストパフォーマンスの高いアイスブレイカーですが、それでもサーバーにランするたび《トールブース/Tollbooth》のために7f:id:fobby:20171229231623j:plain消費するのはなかなかの負担になります。

迂回は、これらの過程すべてを文字通り迂回できるのです!


具体的にどのようなメリットがある?

  • 総じて安上がりです。
  • 《内部犯行/Inside Job》を使うことで、アイスに守られているサーバーに対しアイスブレイカーのない状態でのランが可能となり、コーポに対していわば奇襲を仕掛けることができます。
  • ファム・ファタル/Femme Fatale》でコーポの強力なアイスを選べば、ランナーはクレジットの支出を大きく抑えることができます。ほぼ例外なく、強力なアイスほど高額であるため、コーポがアイスをレゾするために費やしたコストが無駄になることも大きなアドバンテージです。*2
  • 例えば「バリアのアイス」をブレイクするためには「フラクター、もしくはAIのアイスブレイカー」が必要といったふうに、サブタイプの合致するアイスブレイカーが必要となりますが、《内部犯行/Inside Job》も《ファム・ファタル/Femme Fatale》も迂回対象のアイスのサブタイプを問いません。ですから目当てのアイスブレイカーがなかなか引けない場合や、トラッシュされてしまっている場合にも有効です。
  • 迂回を行うことで、《トールブース/Tollbooth》《データレイブン/Data Raven》《ポップアップ・ウィンドウ/Pop-up Window》などが持つ、「ランナーがこのアイスにエンカウントした時」の能力を無視できます。詳細については後述します。

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通過に7f:id:fobby:20171229231623j:plainかかる《トールブース/Tollbooth》も、《内部犯行/Inside Job》なら2f:id:fobby:20171229231623j:plainで迂回!
ファム・ファタル/Femme Fatale》がこの《トールブース/Tollbooth》を選んでいたなら毎回1f:id:fobby:20171229231623j:plainで迂回!
コーポは計算が大きく狂ってしまう。

迂回する際に気をつけることは?

  • 迂回されたアイスのサブルーチンは、ブレイクされていません。
    • 《チャム/Chum》のサブルーチンを解決後、ランナーが次にエンカウントしたアイスを迂回したのであれば、そのランナーは次のアイスのサブルーチンをブレイクしていないと見なされるので、3ネットダメージを受けます。
  • 迂回はあくまでも通過の一種です。
    • 《カクゴ/Kakugo》を迂回したランナーは1ネットダメージを受けます。
  • 基本セットにおけるすべての迂回は「ランナーがこのアイスにエンカウントした時」の能力を無視しますが、英語版の全カードプールを使用する場合は、そうとは限らないことに注意してください。Terminal Directiveのクリミナルのアイスブレイカーは、タイミング構成上、「エンカウント時」の能力を解決してから迂回をもたらします。
  • 迂回と直接関係ありませんが、《ファム・ファタル/Femme Fatale》はインストールコストが9f:id:fobby:20171229231623j:plainと、アイスブレイカーとしては極めて高額です。また、「サブルーチン1つにつき1f:id:fobby:20171229231623j:plain」という迂回コストは、《ハイヴ/Hive》のようなサブルーチンの多さが強みのアイスには効果が薄くなります。

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通過した時、の条件に引っかかってしまう。


「ランナーがこのアイスにエンカウントした時」の能力を、基本セットのカードによる迂回を用いることで無視できる理由を教えてください。

  • 慣れないうちは「そういうものだから」という認識で問題ないと思われます…。初回プレイであれば、この項目は読む必要はありません。(これが最後の項目なので、ブラウザのタブを閉じてしまいましょう)。ゲームに慣れてきて、よりルールを詳しく知りたくなったのなら、恐竜好きの女の子に訊いてみましょう。


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理屈としては、こうです。《ファム・ファタル/Femme Fatale》も《トールブース/Tollbooth》も、「ランナーがアイスにエンカウントした時」というまったく同じタイミングの発動条件を持っているのです。そのため、エンカウントの発生時、《ファム・ファタル/Femme Fatale》の「選んだアイスを迂回する能力」と《トールブース/Tollbooth》の「ランナーに3f:id:fobby:20171229231623j:plainを請求するか、ランを終了させる能力」は、同時に発動条件が満たされます。

ですが効果の解決は常に1枚ずつ、そしてターンを進行しているプレイヤーから順番に行われます。ランやエンカウントは通常であればランナーのターンに発生するため、まずランナーのカードである《ファム・ファタル/Femme Fatale》が持つ「迂回能力」が先に発動するのです。

迂回能力が解決されると、ランナーと《トールブース/Tollbooth》のエンカウントは終了し、ゲームは次のステップへ進んでいます。この時点で《トールブース/Tollbooth》は、もはや「ランナーがトールブースにエンカウントした時」の発動条件を失っています。そのため、3f:id:fobby:20171229231623j:plainを支払わせる効果は発動も解決もしないのです。

長くなりましたが、この処理手順を把握すれば多くのことに応用が効きます。「アンドロイド:ネットランナーでは常に、ターンを進行中のプレイヤーのカードから先に効果を解決する」ということだけでも、覚えておくといいでしょう。

なお、コーポのターンにランを発生させ、《トールブース/Tollbooth》を《ファム・ファタル/Femme Fatale》より優先させうるカードは存在します。存在しますが、ほぼ忘れてしまって問題ないと考えます。もし仮にそのカードを使用された場合は、レアケースゆえにコーポ側から処理について詳しい説明が入るはずです。ベテランのプレイヤーやジャッジでも、コーポのターンのランをよどみなく処理することは困難でしょう。


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《内部犯行/Inside Job》は、《ファム・ファタル/Femme Fatale》とまた違い、さらに専門的な理屈で「このアイスにエンカウントした時」の効果を無視します。「このラン中に最初にエンカウントするアイスを迂回する」という記述には、「~した時」や「~するたび」「各ターン、最初に~したら/した時」などの言葉が使われていません。よって《内部犯行/Inside Job》は常時能力です。

常時能力は、説明に「~した時」や「~するたび」「各ターン、最初に~したら/した時」を用いる条件節能力より常に優先されます。そのため《内部犯行/Inside Job》をプレイ中のランナーが最初に《トールブース/Tollbooth》にエンカウントしたら、「ランナーがトールブースにエンカウントした時」の条件節能力は解決されることなくゲームは次のステップへ進みます。これは、コーポのターンのランであったとしても同様です。

《内部犯行/Inside Job》のメカニズムを把握するのは困難であるばかりか、覚えても他にあまり応用が効きません。「常時能力は、条件節能力より常に優先される」ということだけ覚えておけばよいでしょう。


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なお、繰り返しになりますが、Terminal Directiveに収録されているアイスブレイカーは、「このアイスにエンカウントした時」の能力を無視することができません。これらのアイスブレイカーの持っている迂回をもたらす消費型能力が発動可能になるのは、タイミング構成上、「エンカウントした時」の処理がすべて終了してからとなります。

参考文献

Rule Reference
https://images-cdn.fantasyflightgames.com/filer_public/03/e1/03e12a8e-3d21-4a6a-af2d-5edd99f61c4e/adn_rules_reference_hi.pdf

8ページ:

Bypass
When an effect allows the Runner to “bypass” a piece of ice, they immediately pass that ice and continue the run. All subroutines (including 0) on the ice bypassed are not broken.

以下、拙訳

迂回
ある効果がランナーにアイスを迂回させた時、そのランナーはただちにそのアイスを通過し、ランを続行します。その迂回されたアイスの全てのサブルーチンは、(0個であった場合も含み)ブレイクされていません。

4ページ:

If the trigger condition of a conditional ability is met by a specific timing structure of the game (for example, “When your turn begins...”) and that timing structure becomes invalid between the trigger condition being met and the ability triggering, then the triggered ability never triggers and does not resolve. A timing structure becomes invalidated by that structure ending prematurely, usually due to simultaneous effects or chain reactions.

Example: The Runner encounters a Tollbooth that they can bypass with Femme Fatale. Both cards have the same trigger condition, but because it is the Runner’s turn the Femme Fatale triggers first. The ice is bypassed, and because the encounter timing structure has ended and the pass timing structure has begun, the trigger condition for Tollbooth is no longer valid. The ability to force the Runner to pay credits or end the run does not trigger or resolve.

以下、拙訳

条件節能力の発動条件がゲームの特定のタイミングによって満たされ(例えば、「君のターンの開始時…」)そしてそのタイミングが、発動条件が満たされたことによる能力の発動のあいだに失効した場合、その発動能力は、発動と解決をいっさい行いません。あるタイミングがその途中で終了して失効するのは、通常は同時効果か連鎖効果によるものです。

例:ランナーは《ファム・ファタル/Femme Fatale》によって迂回可能な《トールブース/Tollbooth》にエンカウントした。どちらのカードも同じ発動条件を持つものの、いまはランナーのターンであるがために《ファム・ファタル/Femme Fatale》が先に発動する。そのアイスは迂回され、エンカウントのタイミングが終了。そして通過のタイミングが始まり、《トールブース/Tollbooth》の発動条件はもはや失効する。ランナーにクレジットを支払わせるか、ランを終了させる能力は、発動も解決もしない。


《内部犯行/Inside Job》は常時効果であり、エンカウント時に発動する能力ではないため、コーポのターンであっても迂回できる。
www.reddit.com


余談

FAQ3.xの頃までは、《ファム・ファタル/Femme Fatale》も《トールブース/Tollbooth》も同時に発動するという裁定でしたが、最新のFAQでは《トールブース/Tollbooth》は発動も解決もしないというふうに記述が変わっています。《モウ/Maw》との作用をわかりやすくするための《Salsette Slums》エラッタの影響でしょうか?


公式サイトで読めるpdfを確認する限り、第2版に同梱されているチュートリアルブック、Learn to Playには、迂回に関する記述がいっさいありません!旧ルールブックには迂回についての用語解説があったのに…といっても旧ルールブックも1度改訂されているようで、それまでは迂回に関する記述がなかったのですが。

*1:なお、サブルーチンが例えば2つある場合は、1つはブレイクし、もう1つは解決するといったふうな選択も可能です

*2:まだレゾされていないアイスを選ぶこともできます