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アンドロイド:ネットランナー『カンパラの支配 / Kampala Ascendant』私的ルーリング解説(非公式 FAQ ではありません)

追記(2018/08/02)
非公式FAQ(実質公式FAQ)が更新されました。このエントリも無駄にはなりませんが、裁定の変更もあったため、UFAQも併せてご覧ください。
removeanddiscard.hatenablog.com

はじめに

通常であれば各拡張の販売に伴い各カードの裁定を示す非公式 FAQ (といっても実質公式 FAQ )が公開されるのですが、前サイクル同様、サイクルの最後の拡張である『カンパラの支配』は日本のみ先行発売となります。

このことから、『カンパラの支配』に収録されているカードは、あるカードの特定状況下での作用から、そもそもどういった意味を持つカードなのかといったものまでを含む裁定が、未発表の状態で日本語版の発売を迎える可能性があります。事実、レッドサンド・サイクルの最終拡張はそのようになり、特に《修復》の扱いに苦労させられました。

マジな話、このゲームは裁定を参照しないと遊べないゲームなので、わたしたち日本勢は、正確でないルールでネットランナーをプレイさせられる恐れがあるということになります。

とはいえ、この拡張のカードにはさほど複雑な記述もないことから、現状のルール理解だけで問題なく遊べると思われます。それでも、第 2 版から参入されたプレイヤーの方々にはちょっと紛らわしいかなと思われるところもあります。そこでわたし(Fobby @RemoveNDiscard)が解説させていただきます。念のため質問箱のアドレスも付記しますので、不明点やこの記事へのツッコミなどございましたらお願いします。
Fobbyの質問箱です | Peing -質問箱-

後に非公式FAQが公開されたなら、別途それを訳したり、補足する記事を書く予定です。

《◆ゼロ/◆Zer0》

ハードウェア

f:id:fobby:20180521144012p:plain, 1ネットダメージを受ける:1f:id:fobby:20180521144018p:plainを得てカードを2枚引く。この能力は1ターンに1度だけ使える。

コスト:1 アナーク影響: 3

《◆Zer0》ルール解説

このダメージはコストなので妨害してはダメ

1ネットダメージを受けることは、《Zer0》の消費型能力を発動させるためのコストです。そのため、このネットダメージを妨害した場合、ランナーは《Zer0》からの効果を得られません。

ダメージを受けることは、ダメージを与えることではない

《トーリ・ハンゾー / Tori Hanzo》は《Zer0》のネットダメージをブレインダメージに置換することができません。「コーポがダメージを与える/do」ことで発動する条件節能力は、「ランナーがダメージを受ける/suffer, take」ことでは発動しません。

2枚目以降の《◆Zer0》にも意味がある

《Zer0》が持つのは1ターンに1度のみ発動できる消費型能力ですが、「1ターンに1度のみ」の制限は、別の《Zer0》という名前のカードの能力には適用されません。

そのため

  • 1クリック目で《Zer0》を発動したあと、
  • 2クリック目で別の《Zer0》をグリップからインストールすることで最初の《Zer0》をトラッシュ(このトラッシュは妨害できません)、
  • 3クリック目で2枚目の《Zer0》を発動させる。

といったことが可能です。

ユニークカードは場に2枚存在できません。2枚目の《Zer0》がインストールされると、1枚目の《Zer0》はただちにトラッシュされます(妨害できません)。

なお、「新しいものがインストールされるとただちに古いものがトラッシュされる」というルールは、コンソールには当てはまりません。コンソールで同じことをしようとすると、新しいコンソールのほうがトラッシュされます(妨害不可)。

アミーナ/Amina》

プログラム:アイスブレイカー-デコーダ

2 f:id:fobby:20180521144018p:plainコードゲートのサブルーチンを 3 つまでブレイクする。
2 f:id:fobby:20180521144018p:plain:強度 +3。
各ターン、これで全てのサブルーチンをブレイクしたアイスとのエンカウントが最初に終了した時、コーポは 1 f:id:fobby:20180521144018p:plainを失う。

コスト:7 モリー: 1 強度: 3 クリミナル影響: 4

《Amina》ルール解説

失えないなら、失いません

コーポのクレジットプールが空である場合には、条件が満たされても《Amina》は何もしません。コーポの所有クレジット額はマイナスになりません。

たとえば《NBN: ニュースを生み出す/NBN: Making News》や《アドニスキャンペーン/Adonis Campaign》のようなコーポのカードに搭載されているクレジットには、何も影響しません。

《予算の流用 / Diversion of Funds》

イベント:ダブル-ラン-破壊活動

このイベントをプレイするための追加コストとして、f:id:fobby:20180521144012p:plainを消費する。
HQ にランを行う。成功した場合、カード群にアクセスする代わりに、コーポに 5 f:id:fobby:20180521144018p:plainまで失わせ、そして君は失われた 1 クレジットにつき 1 f:id:fobby:20180521144018p:plainを得てよい。

コスト:1 クリミナル影響: 5

《予算の流用 / Diversion of Funds》ルール解説

発動させなくともよい

このゲームのプレイヤーは、その所有クレジットがマイナスになることはありません。そのため、 《予算の流用/Diversion of Funds》は、5f:id:fobby:20180521144018p:plain未満しか所有していないコーポに5f:id:fobby:20180521144018p:plainを失わせることができません。その場合でもランナーはコーポのクレジットプールを空にすることはできますが、もうひとつの効果によってランナーが5f:id:fobby:20180521144018p:plain満額を得ることは不可能になります。

そのため、これをプレイしたはいいが、ランの最中にコーポのクレジットが想定外に消費されるなどして、ランは成功したもののクレジットを失わせることがあまり効果的でないと判断することもあるでしょう。

《予算の流用/Diversion of Funds》は任意の能力(してよい / may)であるため、そのような場合にランナーはHQのカード群へ通常どおりアクセスすることを選択できます。

当然ながらその場合も《予算の流用 / Diversion of Funds》はトラッシュされます。

最高で 5 f:id:fobby:20180521144018p:plainまで失わせる能力

これを発動させた場合、ランナーはコーポから0~5f:id:fobby:20180521144018p:plainまでの任意の額を失わせることができ、その後、失われた額と同額のクレジットをそのランナーは得ます。そのためコーポが3f:id:fobby:20180521144018p:plainしか持っていないような場合にもこれは使用でき、その場合はランナーは0~3f:id:fobby:20180521144018p:plainのうち任意の額を失わせ、その後、そのランナーは失われた額と同額の0~3f:id:fobby:20180521144018p:plainを得ることができます。

《PADコネクタ/PAD Tap》

リソース

各ターン、コーポがカードの能力によってクレジットを最初に得た時、君は 1 f:id:fobby:20180521144018p:plainを得てよい。
f:id:fobby:20180521144012p:plain, 3f:id:fobby:20180521144018p:plain:これをトラッシュする。コーポのみがこの能力を使える。

コスト:0 クリミナル影響: 1

《PADコネクタ/PAD Tap》ルール解説

日本語版の大規模エラッタが必要

ネットランナーでは、クレジットを「得る / gain」ことと「受け取る / take」ことは別のキーワードとして処理されます。そして《PAD Tap》は「得る / gain」ことによってのみ発動します。

しかしながら、ネットランナー日本語版では、 "gain" と "take" いずれのキーワードも、「得る」に統一して翻訳しています。そのため、このカードは日本語環境では正しく機能しません。

基本セット第2版収録のカードのみが一応の対応を受けており、それまで「得る」と翻訳されていた "take" はすべて「受け取る」に訂正されました。そのため同名のカードでありながら、旧版と第 2 版でテキストの記述が異なるカードが存在します。しかし、現在も使用可能な旧版のカードはエラッタされていません。

なお悪いことには、それ以降に発売された拡張を見る限り、 "gain" と "take" の混同は現在も続いており、それらは修正もエラッタもされていません。アークライトからは何のアナウンスもありません。わたしたちはクレジットを「得た」のか「受け取った」のか、テキストからは判別ができないのです。

さいわい、後述する手段を用いてテキストに依存することなく「得る」と「受け取る」のどちらが発生したかを見分けることができます。くれぐれも、クレジットを「受け取った」時に《PAD Tap》を発動させないでください。

さいわい「得る / gain」と「受け取る / take」の見分け方は簡単

アドニスキャンペーン / Adonis Campaign》《デイリーキャスト / Daily Casts》のように、インストール済みのカードの上に搭載されているクレジットは、条件が満たされた時にプレイヤーが「受け取る / take」ものです。

それら以外はすべて「得る / gain」クレジットです。任務からのクレジットはすべて「得る / gain」ものです。また、《PAD キャンペーン/PAD Campaign》のようにインストール済みのカードの効果であっても、その効果がバンクから直にプールへとクレジットを供給するのなら、それは「得る / gain」ものです。《PAD Tap》はこれらによってのみ発動します。

"take f:id:fobby:20180521144018p:plain from X" は「X からf:id:fobby:20180521144018p:plainを得る」と訳されている

それでも「受け取る」か「得る」かわからなくなった場合は、テキストに「このカードから 2 f:id:fobby:20180521144018p:plainを得る」と書かれているかどうかチェックしてみてください。それは "Take 2 f:id:fobby:20180504113642j:plain from this card." のなごりで、すなわち「このカードから 2 f:id:fobby:20180521144018p:plainを受け取る」と訳されるべき記述だったと思われます。「(カード名)から得る」と記されているクレジットでは、《PAD Tap》は発動しないと見ていいでしょう。

これをトラッシュする能力のコストはコーポが払う

ネットランナーの黄金律に、相手の所有物をコストとして支払うことができないというものがあります。このカードをトラッシュする能力を発動させるためのコスト「f:id:fobby:20180521144012p:plain, 3 f:id:fobby:20180521144018p:plain」は、コーポのターンに、コーポのプレイヤーが払うものです。

《奪還/Reclaim》

リソース

f:id:fobby:20180521144012p:plain, f:id:fobby:20180504113636p:plain, グリップのカードを 1 枚トラッシュする:ヒープから、プログラムかハードウェアか仮想のリソースを 1 つ、インストールコストを払ってインストールする。

コスト:0 シェイパー影響: 2

《奪還/Reclaim》ルール解説

ネットランナーの基本ルール

ランナーのカードに「グリップのカードを 1 枚トラッシュする」との指示があれば、どのカードをトラッシュするかは常にランナーが選びます。トラッシュされたランナーのカードは、表向きにヒープに置かれます。

《暴動の鎮圧 / Riot Suppression》

任務:報復-触法

ランナーが直前のターンにコーポのカードを1枚以上トラッシュしていた場合にのみプレイする。
ランナーは次のターンに消費するf:id:fobby:20180521144012p:plainが3少なくなる。ランナーはただちに 1 ブレインダメージを受けることで、これを妨害してよい。暴動の鎮圧をトラッシュするかわりにゲームから取り除く。

コスト:2 HB 影響: 4

《暴動の鎮圧 / Riot Suppression》ルール解説

ブレインダメージを受けるのはこの任務を突きつけられたその時です

原文には「immediately(ここでは、「ただちに」としました)」と書かれているのですが、日本語版にはこれに相当する語がないので、どのタイミングでランナーがブレインダメージを受けるのか微妙にわかりづらくなっています。

実際には、このカードをプレイされたその場で、ランナーはブレインダメージを受けます(それをそのランナーが望んだのであれば)。次のランナーのクリックが補充されるターンのタイミング構成[1.1]時点でランナーがブレインダメージを受けることはありません。

このブレインダメージを妨害したら、クリックは失われてしまう

「ランナーはただちに 1 ブレインダメージを受けることで、これを妨害してよい。 / The Runner may immediately suffer 1 brain damage to prevent this. 」は「A することで、 B してよい / do A to do B」の書式であることに注意してください。

この書式が示すように、ここでのブレインダメージは《暴動の鎮圧》を妨害するために支払うコストです。もしこのダメージを妨害してしまうと、ランナーは次のターンで消費できるクリックが 3 少なくなります。

《ムティ・ムクウェンドゥ:生命の改良/Mti Mwekundu: Life Improved》(Mti Mwekundu = red wood)

ID:部署

1 ターンに 1 度、ランナーがサーバーにアプローチした時、そのサーバーを守る最内殻の位置に、すべてのコストを無視してアイスを 1 つインストールしてよい。ランナーはそのアイスへのアプローチになる。

ジンテキ 最小デッキ枚数: 45 影響値上限: 15

《Mti Mwekundu: Life Improved》ルール解説

これが裸のサーバーにアイスを置いたら、ジャックアウトできません

アイスに守られていないサーバーへランナーがアプローチしているとき、《Mti Mwekundu》がそのサーバーにアイスをインストールしたことで、ランナーがそのアイスへのアプローチをせまられた場合、それはこのラン中の最初のアイスへのアプローチとなります。

ランごとの最初のアイスへのアプローチではジャックアウトができないので、コーポがそのアイスのレゾコストを払ってレゾできるなら、ランナーはコーポが「後出し」したアイスとのエンカウントを強制されます。

《ムリンジ/Mlinzi》(Mlinzi= protector)

アイス:セントリー-対人

f:id:fobby:20180504113638p:plainランナーがスタックの一番上から 2 枚のカードをトラッシュしない限り、 1 ネットダメージを与える。
f:id:fobby:20180504113638p:plainランナーがスタックの一番上から 3 枚のカードをトラッシュしない限り、 2 ネットダメージを与える。
f:id:fobby:20180504113638p:plainランナーがスタックの一番上から 4 枚のカードをトラッシュしない限り、 3 ネットダメージを与える。

コスト: 7 強度: 5 ジンテキ影響: 3

《ムリンジ/Mlinzi》ルール解説

スタックが空なら、ネットダメージが確定します

各サブルーチンが要求するだけの枚数のカードがスタックにない場合にそれらサブルーチンを解決したら、ランナーはネットダメージを受けなければいけません。
これは、《ロキ / Loki》のサブルーチンが要求する「ランナーがグリップのカードすべてをスタックへ加えてシャッフルしない限り~」の条件を、グリップが 0 枚の時に満たすことができないという裁定にならっています。

追記(2018/08/02)
《ロキ》の裁定が変更されました。これによりスタックに1枚でもカードがあれば、《ムリンジ》のどのサブルーチンからのネットダメージであろうと、それを拒否するためにスタックのトラッシュを選べることになりました(スタックに1枚でもカードがあれば)。詳しくは
removeanddiscard.hatenablog.com

おわりに

ルールはそんなに難しくないんですが、 "gain" と "take"の区別についてはかなりどうしようもないですね。

  • コストとしてのダメージを妨害したら、効果を受けられなくなる
  • 「ダメージを与える / do damage」とは、「ダメージを受ける / suffer damage / take damage」とは異なる事象を指している
  • ネットランナーにはクレジットを「受け取る / take」ことと「得る / gain」ことがある
    • 日本語版では、両者の訳しわけがなされていないので、正しく遊べない
  • 《暴動の鎮圧》でダメージを受けるのは、その場ですぐ
    • これも日本語版だけで生じうる疑問
  • ジンテキに最初のアプローチを強制された場合、ランナーはジャックアウトできない

こんな感じ。いずれにせよ、非公式 FAQ が出たらそちらをきちんと訳します。

質問箱

Fobbyの質問箱です | Peing -質問箱-
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読み方

  • このブログは、Fantasy Flight Games社および株式会社アークライトと一切関係がありません。筆者(Fobby @RemoveNDiscard)がすべての文責を負います。
  • このエントリ中の引用タグ内の日本語カードテキストはすべて拙訳であり、株式会社アークライトとは一切関係がありません。ただし、書式のみ、その製品を参考にしています。
  • このエントリ中の《》内は、公式カード名です。公式に和名のあるものは《確実なギャンブル/Sure Gamble》と併記します。
    • 和名がわからないものは、拙訳したものをカッコ外に書きます。
      • 例:《Sure Gamble》勝ち確のバクチ