Remove and Discard

Android: Netrunner fan site

アンドロイド:ネットランナーの英語版のみのカードを紹介:第2回 - Bryan Stinson ~ 捨て札を手札のように扱いそのコストをすべて踏み倒す禁止カード ~

他のカードゲームを見ていくうちに、「捨て札のことを手札であるかのように扱うカードは危険」「コストを踏み倒すカードは危険」「カードタイプが適切でないカードは危険」といったことが分かってきます。《Bryan Stinson》はそれらすべてを満たし、そして禁止されました。

f:id:fobby:20190702210357p:plain
Bryan Stinson

《Bryan Stinson》
強化:人物



ランナーが6f:id:fobby:20180521144018p:plain未満所有であるかぎり、Bryan Stinsonは「f:id:fobby:20180521144012p:plainアーカイブにある取引の任務1つを、すべてのコストを無視してプレイする。その取引をトラッシュするかわりに、ゲームから取り除く。」を得る。

なぜこんなに簡単に発動できるのでしょうか。ランナーのクレジットプールが5f:id:fobby:20180521144018p:plain以下である状態にかぎり……という、特に意識しなくても達成できる条件を満たせば、「f:id:fobby:20180521144012p:plain, アーカイブヘッジファンドをゲームから取り除く:9f:id:fobby:20180521144018p:plain得る」という法外な能力を得ます。

なぜ強化なのでしょうか。このカードを実際に使ったり使われたりした人が一番理不尽に思う部分が、このカードが強化であることだと思います。コーポは彼を引いたらとりあえず中央サーバーの防衛に便乗するかたちでルートにインストールして、ランナーが5f:id:fobby:20180521144018p:plain以下所有の状態になるまでじっくり待つことができました。

なぜトラッシュコストが5なのでしょうか。払えません。まあ自分の所有が5f:id:fobby:20180521144018p:plain以下にならなければいいわけで、放置してもいいか……などと甘く考えているランナーは《経済戦争/Economic Warfare》に泣きます。

なぜプレイコストを踏み倒せるのでしょうか。アーカイブの取引をそのままプレイできるだけでもよかったのに。いったん目覚めた彼の能力でコーポが1ターンに30f:id:fobby:20180521144018p:plainくらい得るのはザラでした。もし返しのターンでランナーが所有5f:id:fobby:20180521144018p:plain以下の状況から脱せなかったら……。


なぜ?なぜ?なぜが止まらないカード。そんな彼と最も相性がよかったと言えるのが、これまた英語版のみの取引、《Ultraviolet Clearance》ではないでしょうか。

f:id:fobby:20190702210434p:plain
Ultraviolet Clearance

任務:取引 - トリプル



この任務をプレイするための追加コストとして、f:id:fobby:20180521144012p:plainf:id:fobby:20180521144012p:plainを消費する。
10f:id:fobby:20180521144018p:plain得て、そしてカードを4枚引く。カードを1枚インストールしてよい。
(CR 1.2によるエラッタ適用)

f:id:fobby:20180521144012p:plainf:id:fobby:20180521144012p:plainf:id:fobby:20180521144012p:plainをまとめて消費するのはなかなか大変だったので、あえてディスカードフェイズで《Ultraviolet Clearance》をアーカイブに送り、《Bryan Stinson》でプレイコストと追加コストを踏み倒したものでした。ランナーにとってはたまったものではありません。

《Bryan Stinson》は晩期FFGによって制限カードに指定されました。晩期です。なぜか長いことお咎めなしだったと記憶しています。ともあれ制限は効果的で、その時点でほぼ使われなくなるほど使用率を落としました。その後、NISEIがスタンダードで禁止カードに指定したことで完全に表舞台から姿を消します。

彼はフレーバー的には「会社でなく個人の名義で取引を行うことを強いられ、いざという時はウェイランドにすべての責任をなすりつけられる男」という人物なのですが、そのとおりになってしまいました。でも私は、ときどき彼が恋しくなります。さっきの《Ultraviolet Clearance》のような、「踏み倒しでプレイされることを前提とした高コストのカード(そして実用的でもある)」というのはあまりこのゲームにないと思うんですが、そのような慎ましやかなゲームの中でのあの、冒涜的といえる踏み倒しには麻薬的な気持ちよさがありました。