アンドロイド:ネットランナー-もう「発動忘れ」は怖くない!新拡張から導入された新たなメカニズム
特定の条件が満たされた時に発動する「条件節能力」
アンドロイド:ネットランナーには「条件節能力/conditional ability」という要素があります。この能力を表す文には「~時/when」「~たび/whenever」「各ターン最初に/the first time each turn」などの語が使用され、そのタイミングが訪れるごとに1度だけ発動します。
条件節能力を持つ代表的なカードのひとつに、《PADキャンペーン/PAD Campaign》があります。
「君のターンの開始時、1を得る。」と書かれています。コーポのターンが開始するタイミングでこの資財《PADキャンペーン/PAD Campaign》が発動し、コーポのプレイヤーが1を得るというしくみです。
《アドニスキャンペーン/Adonis Campaign》もまた条件節能力として、コーポにクレジットを供給します。「君のターンの開始時、アドニスキャンペーンの上から3を受け取る。」
《データサッカー/Datasucker》にウィルスカウンターを置くのも条件節能力です。「中央サーバーへのランが成功するたび、ウィルスカウンターを1つデータサッカーの上に置く。」
《ガブリエル・サンチャゴ/Gabriel Santiago》からクレジットを得るのも、「各ターン、最初にHQへのランが成功した時、2を得る」とあることから、条件節能力による効果です。ちなみに、基本セット第1版の時点においては「各ターン、最初に」の語は条件節能力を表すものではありませんでした。
発動忘れにご注意
さて、ずらずらと並べましたが、これらの能力の共通点はなんでしょうか?それはずばり、忘れられやすいということです。特にいま挙げたような、ある大きな事象に付加して発動する能力は、忘れられやすいのです。
先の例で言えば、ターン開始時、能力は発動しているのに、クレジットを得るのを忘れる/受け取るのを忘れる。ランの成功時、カウンターをカードの上に置き忘れる。
もちろん大会では、こうした発動忘れ、missed triggerが発生した場合に備え、あらかじめ用意されているFloor Rulesに従いプレイを進行しますが、それでもトラブルの種になりがちです。
それは1枚のカードのエラッタから始まった
こうした問題を解決するため、まず《Security Testing》というカードに対しエラッタがなされました。
(エラッタ前)
君のターン開始時、サーバーを1つ選ぶ。このターン、最初にそのサーバーへのランが成功した時、カード群にアクセスするかわりに、2を得る。
(エラッタ後)
君のターン開始時、サーバーを1つ選んでよい。このターン、最初にそのサーバーへのランが成功した時、カード群にアクセスするかわりに、2を得る。
条件節能力が「してよい/you may」のつく任意条件節能力に変更となりました。このエラッタについて、非公式FAQ(実質的には半公式というべきか?)を運営するJacob Morrisはこのように説明しています。
It's just a tournament play consideration. Makes "oops I forgot to declare Sec Test server" a nonissue.
拙訳:
単に、大会への配慮です。「おっと、Security Testingのサーバーを宣言するのを忘れちゃった」という問題がなくなります。
キタラ・サイクルの様変わりしたカードたち
「ランが成功するたび、Yusufの上にウィルスカウンターを1つ載せてよい。」
「各ターン、アイス1つのサブルーチン全てを最初にブレイクした時、1を得てよい。」
「コーポのターン開始時、そのコーポはSSL Endorsementから3を受け取ってよい。」
「コーポのカードが1枚開示されるたび、君は1を得てよい。」
いかがでしょうか。特に忘れられやすいタイミングで発動する能力は、キタラ・サイクルにおいてはこれでもかと「してよい/may」の任意条件節能力として設定されました。いま例示したカードは、条件が満たされた場合にそれを発動しないことを選択する意味がほぼないことから、すべては発動忘れ問題を解決するために付与された「してよい/you may」であると考えられます。
もし使用者がその発動を忘れたままゲームが進行してしまったとしても、それは「しなくてもよい」わけですから、しなかったからといって巻き戻したり、それに伴うペナルティなどを勘案する必要はないというわけです。
過去にさかのぼってこの種のカードすべてへのエラッタが行われたわけではないので、依然として《PADキャンペーン/PAD Campaign》の発動忘れのリスクは残っています。しかしわたしたちは、今後印刷されるカードの「君のターン開始時、」の能力を発動させたかどうかで混乱することから解放されたのです。そのぶんの記憶領域は過去のカードにまわしましょう。