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『アンドロイド:ネットランナー』最新拡張「名誉と利潤 / Honor and Profit」特集:使用率の高いカード、裁定、エラッタ - 試験に出る!セキュリティ試験

はじめに

2つ目の大拡張「名誉と利潤」はジンテキとクリミナルに的を絞ったラインナップとなっています。この拡張のおかげで、日本語環境におけるジンテキはかなり強力な派閥になったのではないでしょうか。格闘ゲームの『Marvel vs. Capcom』シリーズについて「カプコンは忖度してマーベル側のキャラを強く調整している」と噂されることがありましたが(カプコンはこの噂について言及し、否定しています)、FFGは日本展開にあたって日本企業のジンテキを強くしたのではないかなどというくだらない冗談が思い浮かびます。

リファレンスガイドへのリンク

ArclightGames

採用率の高いカード: コーポ編

早期着工 / Fast Track

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任務

R&Dから計画書を1つ探し、それを公開してHQに加える。R&Dをシャッフルする。

コスト: 0 / 派閥: 中立 / 影響: 0


計画書のサーチカード。コーポは原則としてリグが不完全な序盤有利でなのですから、早いうちに得点するためにデッキにたくさん計画書を入れたくなったりもする?かもしれませんが、そんなことをすると計画書をランナーに盗まれるリスクのほうが大きくなります。得点を急ぐなら、ランナーにアクセスされても問題ないサーチの任務で補いましょう。


《ナイフの家 / House of Knives》や《AR強化セキュリティ / AR-Enhanced Security》のように、序盤に得点できれば有利になる計画書を探すのもいいでしょう。


《早期着工 / Fast Track》の使用直後は、計画書の位置を推測する大きな手がかりをランナーに与えてしまうことになりますが、サーチしたのが《未来完了 / The Future Perfect》のような計画書であればあまり気にならないかもしれません。直後に《無心の心 / Mushin No Shin》をプレイするのもおもしろいでしょう。


ジンテキの拡張で中立の任務にもかかわらずR&Dサーチというウェイランドらしい効果で、アートやフレーバーに描かれているのもウェイランドのエリザベス・ミルズ女史です。

フィロティック網 / Philotic Entanglement

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計画書:保安

フィロティック網の得点時、ランナーの得点エリアにある計画書1つにつき1ネットダメージを与える。
フィロティック網はデッキに1枚制限。

アドバンス要求: 3 / 計画ポイント: 2 / 派閥: ジンテキ

《専門顧問 / Braintrust》とあわせ、ジンテキは現環境で唯一3/2の計画書(アドバンス要求が3 / 計画ポイントが2 である計画書をこう書きます)を4枚デッキに入れられます。変則的ですが《飛躍的医療技術 / Medical Breakthrough》も3/2に(下手をすれば2/2にも)なり得ます。《光の錯覚 / Trick of Light》や《テンニンからの出荷 / Shipment from Tennin》を使えば、3/2の計画書は1ターンで得点可能です。


得点時効果については、デッキに1枚制限のカードでフラットラインを狙うのは難しいでしょうが、《早期着工 / Fast Track》で狙ってみるのもあり?それなら《ナイフの家 / House of Knives》をわざとたくさん得点させるのも手でしょう。


ちなみに、ランナーの得点エリアにある《評判 / Notority》や《四点九 / Shi.Kyū》のような、効果によって計画書に変換されたカードも、《フィロティック網 / Philotic Entanglement》からは計画書の1つとカウントされます。

未来完了 / The Future Perfect

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計画書:構想 - サイ

ランナーが未来完了にアクセスした時、君とランナーは秘密裏に0f:id:fobby:20180521144018p:plainか1f:id:fobby:20180521144018p:plainか2f:id:fobby:20180521144018p:plainを支払う。支払ったクレジットを公開する。君とランナーが異なる額のクレジットを支払っていた場合、未来完了が盗まれることを妨害する。この能力は、ランナーがインストール状態の未来完了にアクセスした場合は無視する。

アドバンス要求: 5 / 計画ポイント: 3 / 派閥: ジンテキ


アクセスしても3/2の確率で盗むことができない計画書。アーカイブにしのばせておいてもその高い自衛能力でなかなか盗まれませんが、サイゲームに勝つにはクレジットを払わないといけないため、うっかりしているとどんどんプールが枯れていきます。また、これをアドバンスするためにインストール状態にしてしまうと、一切の能力を失うことにも注意が必要。


日本語環境でも《世界食料構想 / Global Food Initiative》《オボカタ・プロトコル / Obokata Protocol》《Bacterial Programming》《SSL Endorsement》と様々な選択肢があるため、ジンテキは5/3の計画書に困りません。

コマイヌ / Komainu

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アイス:セントリー - 対人

ランナーがコマイヌにエンカウントした時、これはこのランの残りの間、ランナーのグリップのカード1枚につき「f:id:fobby:20180504113638p:plain1ネットダメージを与える。」を1つ得る。

コスト: 5 / 強度: 1 / 派閥: ジンテキ / 影響: 4


《カクゴ / Kakugo》や《オボカタ・プロトコル / Obokata Protocol》の待つジンテキのサーバーに対しては、グリップにたくさんのカードを抱え込んでランしたいもの。そんなランナーを狙い撃つアイスです。


これ単体でフラットラインさせることこそできませんが、1ターン目からレゾ可能なレゾコストを持つため、ランナーはキラーなしでのジンテキ相手へのランを躊躇せざるを得ません。

ガード / Guard

f:id:fobby:20180614173037p:plain

アイス:セントリー

ガードは迂回できない。
f:id:fobby:20180504113638p:plainランの終了。

コスト: 4 / 強度: 2 / 派閥: 中立 / 影響: 0


いわゆる「銀の弾丸」であり、相手が迂回をしないランナーであれば意味のないカードですが、迂回を得意とするクリミナルが強い環境では選択肢に入りえます。

採用率の高いカード: ランナー編

地道な作業 / Legwork

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イベント:ラン

HQへランを行う。成功した場合、HQのカードに追加で2枚アクセスする。

コスト: 2 / 派閥: クリミナル / 影響: 2

《造物主の目 / The Maker's Eye》のHQ版であり、「名誉と利潤」を購入したくなる最大の理由のひとつ。《HQインターフェース / HQ Interface》でもいいんですが、あれはちょっとインストールコストが高いんですよね…。

フェイント / Feint

f:id:fobby:20180614173115p:plain

イベント:ラン

HQへランを行う。このラン中にエンカウントした最初の2つのアイスを迂回する。成功した場合、カード群には一切アクセスできない。

コスト : 2 / 派閥: クリミナル / 影響:


迂回が2回、ただしアクセス不可。主に「ランの成功」に伴う効果だけ得たい場合に使えます。


このカードの使用率が上がってきたのは《GPI Net Tap》という日本語環境にないカードとのコンボのためと思われるので、日本語環境で使いこなすには工夫がいるかもしれません。

セキュリティ試験 / Security Testing

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リソース:仕事

君のターン開始時、サーバーを1つ選ぶ。このターン、最初にそのサーバーへのランが成功した時、カード群にアクセスする代わりに、2f:id:fobby:20180521144018p:plainを得る。

コスト: 0 / 派閥: クリミナル / 影響: 3


裸のサーバーを毎ターン選ぶことができれば「1f:id:fobby:20180521144012p:plain:2f:id:fobby:20180521144018p:plain」という最高クラスの効率でクレジットを得られますし、《身内の恥 / Dirty Laundry》とのコンボも可能です。


シンプルなように見えて、裁定が最も難解なカードのひとつ。ルールに影響しませんが公式エラッタもあります。後述。

パスポート / Passport

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プログラム:アイスブレイカー - デコーダ

1f:id:fobby:20180521144018p:plain: コードゲートのサブルーチンを1つブレイクする。
2f:id:fobby:20180521144018p:plain: 強度+2。
パスポートは遠隔サーバーを守っているアイスに使用できない。

コスト: 1 / 強度: 2 / メモリ: 1 / 派閥: クリミナル / 影響: 2

デコーダとしてのコストパフォーマンスに優れており、遠隔サーバーを攻撃することに使えないデメリットを持つにもかかわらず採用されます。

オーバーマインド / Overmind

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プログラム:アイスブレイカー - AI

オーバーマインドのインストール時、未使用のMUひとつにつきパワーカウンターを1つそれの上に置く。
搭載されているパワーカウンター1つ:アイスのサブルーチンを1つブレイクする。
1f:id:fobby:20180521144018p:plain: 強度+1。

コスト: 4 / 強度: 0 / メモリ: 1 / 派閥: 中立 / 影響: 0

AIは、いかなるサブタイプのアイスでもブレイク可能なアイスブレイカーです(セントリー、コードゲート、バリア、トラップ…すべてブレイクできます)。《ウォール・オブ・スタティック / Wall of Static》や《エニグマ / Enigma》のような序盤からレゾ可能なアイスをブレイクするのに便利です。


序盤はとても効果的ですが、ある程度ゲームが進んでから引いてくると持て余すかもしれません。


個人的に語りたいカード

無心の心 / Mushin No Shin

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任務:ダブル

この任務をプレイする追加コストとしてf:id:fobby:20180521144012p:plainを消費する。
HQから資財か計画書か強化を1つ、新たなサーバー1つの中にインストールする。そのカードにアドバンストークンを3つ置く。次の君のターン開始まで、そのカードを得点もレゾもできない。

コスト: 0 / 派閥: ジンテキ / 影響: 2


「ムシンのシン」と発音します。要するにアイスや強化に守られていない無防備な遠隔サーバーを作ってアドバンストークンを3つ置き、直後のターン、ランナーへそれにアクセスするかしないかを迫ることができるわけです。コーポがインストールしたのは計画書かもしれませんし、あるいは《ジューンバグ計画 / Project Junebug》《Cerebral Overwriter》 のような待ち伏せ/ambushの資財かもしれません。アンドロイド:ネットランナーの原点とも言える読みあいとブラフを生むカードですね。


一か八かのカードでしたが、キタラ・サイクルのカード《ムティ・ムウェクンドゥ / Mti Mwekundu》なら、後からもう1つアイスを出してサーバーを守ることもできます。そりゃないよ。《データ・ループ / Data Loop》にエンカウントさせられてからの《ジューンバグ計画》だったらグリップのカードが7枚でもフラットラインですね。

トライ=マフとの接触 / Tri-maf Contact

f:id:fobby:20180614200427p:plain

リソース:コネ

トライ=マフとの接触は1ターンに1回を超えて使用できない。
f:id:fobby:20180521144012p:plain: 2f:id:fobby:20180521144018p:plainを得る。
トライ=マフとの接触がトラッシュされた時、3ミートダメージを受ける。

コスト: 2 / 派閥: クリミナル / 影響: 1


1f:id:fobby:20180521144012p:plain: 2f:id:fobby:20180521144018p:plainという高効率を誇りますが、トラッシュされた時のデメリットが大きすぎます。タグされたランナーに追い打ちするカードがHQにない場合か、デッキにも特に持たないコーポ(《イチ1.0 / Ichi 1.0》を入れているHBのような)を相手にしている場合でも、そのコーポはタグされたランナーのリソースをトラッシュすることならできます。《MCAの密告者 / MCA Informant》を搭載できるのも辛い。英語環境には「タグされているランナーのリソースをすべてトラッシュする」というエゲツない任務もありますから、これを並べていると即フラットラインもありえます。「英語版あり」の大会に出る時は気をつけましょう。


ルーリングとしては

  • 「トライ=マフとの接触は1ターンに1回を超えて使用できない。」における自己参照は、その《トライ=マフとの接触》のみを指す。
    • つまり、2枚の《トライ=マフとの接触》を1ターンにそれぞれ1回ずつ発動させ、合計4f:id:fobby:20180521144018p:plain得ることは問題ない
  • 「使用」とは任意の能力を指すため、「被トラッシュ時」にダメージを受けることはこれを使用することではない
  • グリップにある《トライ=マフとの接触》がダメージでトラッシュされても、3ミートダメージを受けることはない
    • グリップのカードの能力はアクティブではないため
    • 《まだましな事態 / I've Had Worse》はグリップにあるにもかかわらず能力がアクティブという例外なのだが、使用頻度の高さから《まだましな事態》が基準になりがちでややこしい

裁定

テンニン学会:内なる秘密 / Tennin Institute: The Secrets Within

f:id:fobby:20180614173222p:plain

ID:部署

君のターン開始時、ランナーが直前のターンにランを成功させていない場合、カード1枚の上にアドバンストークンを1つ置いてよい。

最小デッキ枚数: 45 / 影響値上限: 15 / 派閥: ジンテキ

公式裁定
  • IDカードはインストールされないことから、《テンニン学会 / Tennin Institute》はそれ自身の上にアドバンストークンを置くことができません。
  • 《テンニン学会 / Tennin Institute》はランナーのカードの上にアドバンストークンを置くことができます。
個人的解説(文責:筆者)
  • テキスト中に「カード」と特に断りなく書かれているので、これは「インストール状態のカード」を意味します。そのため裁定にあるようにインストールされないIDに干渉できないほか、以下のこともできません。
    • HQの手札カード1枚の上にアドバンストークンを置く
    • ヒープにある捨て札カード1枚の上にアドバンストークンを置く
    • プレイ状態の現状/currentの任務かイベントの上にアドバンストークンを置く
  • ランナーのカードの上にあるアドバンストークンは《光の錯覚》で動かしましょう。

ハーモニー医療技術 / Harmony Medtech

f:id:fobby:20180617234749p:plain

ID:部署

各プレイヤーはゲームの勝利に要する計画ポイントが1少なくなる。

最小デッキ枚数: 40 / 影響値上限: 12 / 派閥: ジンテキ

個人的解説(文責:筆者)
  • 要するに計画ポイント6点を先に獲得したほうの勝ちのゲームです。
  • 引き分けになる可能性のあるIDです。
    • 《従業員のストライキ / Employee Strike》をプレイされ、《ハーモニー医療技術》のテキスト枠が空白の状態で、コーポとランナーの所有する計画ポイントが6対6になっている間に《従業員のストライキ》がトラッシュされたのであれば、引き分けになります。
      • 例:コーポは5点、ランナーは6点を所有している。通常であれば《ハーモニー医療技術》側のプレイヤーの負けであるが、《従業員のストライキ》がプレイされているため、通常どおり7点所有するまで勝利できない。やがて5点所有のコーポは《ナイフの家》を得点し、6点になって、それから《従業員のストライキ》がトラッシュされる。これによりコーポとランナーが同時に勝利条件である『6点以上』の状態を満たすので、ゲームは引き分けに終わる。
    • ただし、《従業員のストライキ》をプレイされているあいだ、ランナーが6点所有であるにも関わらず、コーポが計画書を得点したことで7点以上所有した場合、コーポが勝ちます。
      • これはポイントが多いから判定勝ちというわけではなくて、「計画書が得点されたので《従業員のストライキ》がトラッシュされる」ことより、「コーポが7点以上所有という勝利条件を満たした」ことが優先して処理されるためです。「《従業員のストライキ》のトラッシュにより、コーポとランナーが同時に勝利条件である『6点以上』の状態を満たした」とは見なされません。

ナイフの家 / House of Knives

f:id:fobby:20180614173232p:plain

計画書:保安

ナイフの家を得点した時、その上に計画カウンターを3つ置く。
搭載されている計画カウンター1つ:1ネットダメージを与える。この能力は1度のランの間に1度だけ使える。

アドバンス要求: 3 / 計画ポイント: 1 / 派閥: ジンテキ

個人的解説(文責:筆者)
  • 「この能力は」という断りは、他の《ナイフの家 / House of Knives》の能力に言及していません。3枚の《ナイフの家 / House of Knives》がコーポの得点エリアにあれば、1度のランの間に3ネットダメージまでランナーに与えることができます。
  • 具体的にいつ使えるかは、リファレンスガイドの「ランのタイミング構成」の消費型能力使用可能ウィンドウを参照のこと。

コマイヌ / Komainu

f:id:fobby:20180614173017p:plain

アイス:セントリー - 対人

ランナーがコマイヌにエンカウントした時、これはこのランの残りの間、ランナーのグリップのカード1枚につき「f:id:fobby:20180504113638p:plain1ネットダメージを与える。」を1つ得る。

コスト: 5 / 強度: 1 / 派閥: ジンテキ / 影響: 4

個人的解説(文責:筆者)
  • エンカウント時までサブルーチンを持ちません。そのため、《ファム・ファタル / Femme Fatale》で《コマイヌ》を迂回するさいランナーが支払うべきクレジットは0f:id:fobby:20180521144018p:plainです。
    • エンカウント時はランナーのカードである《ファム・ファタル》が先に処理されるためです。
  • グリップにカードが0枚の状態であれば《コマイヌ》はサブルーチンを持たないので、そういう場合にランナーは、エンカウントした《コマイヌ》を即座に通過できます。そして、そのランナーは「コマイヌの合計0個のサブルーチンすべてをブレイクした」と見なされます(アイスブレイカの有無にかかわらず)。
    • これにより「サブルーチンをすべてブレイクした時」の条件を満たすことができます。
  • 何らかの効果が、同一のラン中にひとつの《コマイヌ》へ 2 回以上のエンカウントを生じさせたなら、《コマイヌ》はそのラン中に既に得たサブルーチンに追加するかたちでサブルーチンを得ます。
    • 例えば、グリップにカード 5 枚あるランナーが《コマイヌ》にエンカウントしその《コマイヌ》に 5 個のサブルーチンを得させ、それらをアイスブレイカーで全てブレイクしたとします。そうしたのち、そのランナーが《コード複製システム/Code Replicator》でもう一度その《コマイヌ》にエンカウントしたのなら、そのエンカウント中にランナーがブレイク/解決する《コマイヌ》のサブルーチンの数は 10 個です。

シロ / Shiro

f:id:fobby:20180614191809p:plain

アイス:コードゲート

f:id:fobby:20180504113638p:plainR&Dの一番上から3枚を見て、それらを望む順に並び替える。
f:id:fobby:20180504113638p:plainコーポが1f:id:fobby:20180521144018p:plainを払わない限り、ランナーはR&Dの一番上のカードにアクセスする。

コスト: 6 / 強度: 5 / 派閥: ジンテキ / 影響: 4

個人的解説(文責:筆者)
  • R&D内のカード群へのアクセスが発生します。
    • 《イクサー / eXer》がインストールされているなら、ランナーはR&Dの一番上から2枚目のカードにも追加でアクセスしなければいけません。
    • 《ムワンザ・シティーグリッド / Mwanza City Grid》がR&Dのルートにインストールされているなら、ランナーは一番上から順番に、合計4枚のカードにアクセスします。
  • 《シロ》が強制するのはR&D内のカード群へのアクセスなので、R&Dのルートにある強化には追加アクセス効果でもアクセスできません。

◆トーリ・ハンゾー / ◆Tori Hanzō

f:id:fobby:20180509154327p:plain

強化:シスオペ

このサーバーへの各ラン中、最初に1点以上のネットダメージを与えようとした時、代わりに2f:id:fobby:20180504113642j:plain支払うことで1ブレインダメージを与えてよい。

コスト: 3 / トラッシュコスト: 2 / 派閥: ジンテキ / 影響: 4

公式裁定
  • 最初のネットダメージは《トーリ・ハンゾー》の置換能力が解決される前に妨害/回避が可能です。
  • 最初のネットダメージという事象が、他の効果によって妨害されるか《トーリ・ハンゾー》自身の効果によって置換された場合、そのランの残りの間、《トーリ・ハンゾー》は発動できません。
個人的解説(文責:筆者)
  • 《トーリ・ハンゾー》のブレインダメージは、「ネットダメージを妨害するカード」でも「ブレインダメージを妨害するカード」でもどちらでも防がれてしまう、というわけです。
  • 《トーリ・ハンゾー》を発動させる「ラン中に最初に与えたネットダメージ」は、妨害や置換によって、以降解決されることがなくなります。しかし、打ち消されたネットダメージは依然として「ラン中に与えた『最初』のネットダメージ」と見なされつづけます。そのため、そのラン中の以降のネットダメージが、《トーリ・ハンゾー》を発動させることはないのです。
    • リファレンスガイドの「序数事象」も参照のこと。
  • ランナーが、《オボカタ・プロトコル / Obokata Protocol》などによりネットダメージを受けるとき、《トーリ・ハンゾー》は発動できません。
    • ダメージを「受ける/suffer, take」ことはダメージを「与える/do damage」ことによる結果の1つですが、同一の事象ではありません。

裁定と関係ないんですが、《カクゴ》で簡単にネットダメージを与えられる割にあまり見ないカードですね。

イアン・スターリング / Iain Sirling

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ID:ナチュラ

君のターン開始時、コーポが君の所有する計画ポイントを超えて得点している場合、2f:id:fobby:20180521144018p:plain得る。

リンク強度: 1 / 最小デッキ枚数: 45 / 影響値上限: 10 / 派閥: クリミナル

公式裁定
  • 《イアン・スターリング / Iain Sirling》の所有する合計ポイントが負の値である場合、0点以上の計画ポイントを所有するコーポよりも計画ポイントが少なくなります。
個人的解説(文責:筆者)
  • この裁定は言わずもがなという感じがしますが、これの以前から「コストが負の値である場合、そのコストは0に等しい」というアンドロイド:ネットランナーの原則が存在していたため、計画ポイントも同様に考えるのかという質問に答える必要があったのでしょう。
  • ちなみに「得点している」と書かれていますが、得点以外の手段でコーポの得点エリアに加わった計画書の計画ポイントもカウントされると思われます。

セキュリティ試験 / Security Testing

f:id:fobby:20180509160326p:plain

リソース:仕事

君のターン開始時、サーバーを1つ選ぶ。このターン、最初にそのサーバーへのランが成功した時、カード群にアクセスする代わりに、2f:id:fobby:20180521144018p:plainを得る。

コスト: 0 / 派閥: クリミナル / 影響: 3

公式裁定
  • 《セキュリティ試験 / Security Testing》がサーバーを選んだあとアンインストールされた場合、その能力は、選んだサーバーへのランが成功した場合のカード群へのアクセスを置換することはできません。カードがアクティブでない以上、能力はもはやアクティブでありません。
エラッタ

エラッタ

君のターン開始時、サーバーを1つ選ぶ。このターン、最初にそのサーバーへのランが成功した時、カード群にアクセスする代わりに、2f:id:fobby:20180521144018p:plainを得る。

エラッタ

君のターン開始時、サーバーを1つ選んでよい。このターン、最初にそのサーバーへのランが成功した時、カード群にアクセスする代わりに、2f:id:fobby:20180521144018p:plainを得る。


サーバーを選ぶことは任意となりました。うっかり選び忘れても揉めないように、発動忘れへの配慮とのこと。詳しくはこちらも参照。
removeanddiscard.hatenablog.com



個人的解説(文責:筆者)
  • まず公式裁定について。アンドロイド:ネットランナーのカードの能力は、カードから独立して存在していることが多いので、この裁定は珍しい例といえます。
    • 例えば、《スニークドアβ / Sneakdoor Beta》によるラン中、その《スニークドアβ》がトラッシュされた場合にも、アーカイブへのランの成功をそのかわりにHQへのランの成功として扱う効果は残ります。
  • 「サーバーを選ぶ能力」と「選ばれたサーバーへのターンごとの最初のランが成功した時の能力」が個別に存在し、トラッシュされると後者がアクティブでなくなるということでしょうか。

基本的な作用としては

  • ターン開始時、サーバーを選んでよい。
    • インストール時やインストールしたターンにおいては、これは一切機能しない。
  • そのサーバーへのランがそのターン中、最初に成功したら、「カード群にアクセスする」ことを「2f:id:fobby:20180521144018p:plain得る」ことへと置換する。
    • よって、選んだサーバーのカード群には、1度目のランの成功時に一切アクセスできない。
    • この置換効果は強制発動。
    • アクセスが存在しなくなるため、《アウマクア / Aumakua》のような「カードにアクセスするたび」の効果もなくなる


そこまでややこしくないのですが、別の《セキュリティ試験》を始めとした、数多くのカードとのややこしい相互作用が存在します。これがやっかいです。ゆっくり読んでいきましょう。


2つの《セキュリティ試験》が同一のサーバーを選んだら
《セキュリティ試験》が2つ以上インストールされていて、その両方が同一のサーバーを選んだあとにそのサーバーへのランが成功した場合、発動する《セキュリティ試験》は1つだけです。得られるのは4f:id:fobby:20180521144018p:plainでなく2f:id:fobby:20180521144018p:plainです。《セキュリティ試験》は「カード群にアクセスすること」を「2f:id:fobby:20180521144018p:plain得ること」に置換する能力であり、このゲームの置換効果は、1つの事象を2つ以上の事象に置換することができません。さらに、「このターンの最初のそのサーバーへのランの成功」という事象は、置換されたとはいえ確かに起こったものとしてカウントされます。そのため、そのターン中にもう一度そのサーバーへのランが成功したとしても、2つめの《セキュリティ試験》は発動できません(というより、このターンにもはや発動することはない)。リファレンスガイドの「序数事象」「置換効果」も参照のこと。


《ハデスの欠片 / Hades Shard》
《セキュリティ試験》がアーカイブを選んだあと、アーカイブへのランが成功したとき、アクセスを置換してグリップの《ハデスの欠片》をインストールした場合、置換できる事象は1つだけであるため、《セキュリティ試験》はそのターン発動しなくなります。


《銀行作業 / Bank Job》
《セキュリティ試験》が遠隔サーバーを選んだあと、そのサーバーへのランが成功したとき、《銀行作業》とは同時に発動条件が満たされます。前述のように、1つの事象の置換は1つの効果にしか置換できませんが、どちらも同じ条件で発動する条件節能力であるので、どちらを発動させるかはランナーの任意です。前述した《ハデスの欠片》についても同じことが言えます。ランナーは同じ条件によって発動したカードのうちどれを解決するか選びます。そして残されたカードには、もはや置換できる事象である「カード群へのアクセス」がありません。


《スニークドアβ / Sneakdoor Beta》
《セキュリティ試験》でHQを選んだあと、《スニークドアβ》を使用すると、《スニークドアβ》の常時効果によって「アーカイブへのランの成功」は「HQへのランの成功」に置換されます。その「HQへのランの成功」を置換することでランナーは2f:id:fobby:20180521144018p:plainを得て、そしてHQのいかなるカードにもアクセスしません。


《セキュリティ試験》でアーカイブを選んだあと、《スニークドアβ》を使用すると、《スニークドアβ》の常時効果によって「アーカイブへのランの成功」は「HQへのランの成功」に強制的に置換されるため、《セキュリティ試験》は発動に失敗します(通常どおり《スニークドアβ》の処理を行います)。《スニークドアβ》は常時効果であり、条件節能力である《セキュリティ試験》に優先されます(リファレンスガイド「同時効果」参照)。そのターンの残りの間、ふたたびアーカイブへのランが成功したとしても、それは「このターンの最初のアーカイブへのランの成功」ではないため、《セキュリティ試験》は発動しません。


《セキュリティ試験》でHQを選んだあと、《スニークドアβ》を使用すると、《スニークドアβ》の常時効果によって「アーカイブへのランの成功」は「HQへのランの成功」に置換されます。これによりランナーは《ガブリエル・サンチャゴ / Gabriel Santiago》から2f:id:fobby:20180521144018p:plainを得て、次いで《セキュリティ試験》から2f:id:fobby:20180521144018p:plainを得、HQのいかなるカードにもアクセスしません。


《スニークドアβ》に関しては、「最終的にたどり着くサーバーへのランとして扱われる」と覚えるといいかもしれません。リファレンスガイド「成功した場合、~」も参照のこと。


《予算の流用 / Diversion of Funds》と《口座の吸い上げ / Account Siphone》
《セキュリティ試験》がHQを選んだあと、《予算の流用 / Diversion of Funds》や《口座の吸い上げ / Account Siphone》によるランが成功した場合、《セキュリティ試験》だけが発動し、HQへのアクセスを2f:id:fobby:20180521144018p:plain獲得に置換して終わります。《セキュリティ試験》はランのタイミング構成[5.4]に相当する、「ランが成功した時」にアクセスを置換して発動します。一方、《予算の流用》や《口座の吸い上げ》は、「ランが成功していた場合に、カード群にアクセスする代わりに」発動する能力なので、ランのタイミング構成[5.5] で発動です。《セキュリティ試験》と併用されると、《予算の流用》や《口座の吸い上げ》は発動時点ですでに置換できるアクセスを失っているため、これらのカードは何もしません。リファレンスガイド「ランのタイミング構成」も参照してください。

◆ドーナツ・タガーネス / ◆Donut Taganes

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リソース:コネ

任務とイベントのプレイコストは1増加する。

コスト: 3 / 派閥: 中立 / 影響: 2

個人的解説(文責:筆者)

コストがXであるカードのコストが1増加した場合、その1はXに含まれます。
どういうことか。《精神心理学 / Psychographics》を例に取ります。

《精神心理学 / Psychographics》プレイコスト: X

Xはランナーの所有するタグの数以下である。
アドバンス可能なカード1枚にX個のアドバンストークンを置く。

任務 / NBN

問:
ランナーが3タグ所有していて《ドーナツ・タガーネス》を1枚インストールしていたとします。仮にコーポがクレジットをいくらでも出せるとして、《精神心理学》をプレイします。最高でいくらまで払えて、どれだけの効果がありますか?


当時のリードデザイナーLukasの答え:
カードの制限により、《精神心理学》には3クレジットまでしか払えません。ですからドーナツがインストールされているなら、3クレジット(2+ドーナツ1)払えて、カードにアドバンストークンを3個まで置けます。


ネットランナーにおいては以下の式が成立します。

X = X + 1

Lukasが「アンドロイド:ネットランナーで一番納得いかない裁定は?」とTwitterでユーザーに訪ねたところ、Redditの反応では「ネットランナー最悪の裁定」としてこれが多くのupvoteを受けました。
www.reddit.com


オーバーマインド / Overmind

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プログラム:アイスブレイカー - AI

オーバーマインドのインストール時、未使用のMUひとつにつきパワーカウンターを1つそれの上に置く。
搭載されているパワーカウンター1つ:アイスのサブルーチンを1つブレイクする。
1: 強度+1。

コスト: 4 / 強度: 0 / メモリ: 1 / 派閥: 中立 / 影響: 0

公式裁定
  • 《オーバーマインド / Overmind》がインストールされるとそれ自体のMUもランナーのメモリ上限に数え、それのインストール時にパワーカウンターを得ます。
個人的解説(文責:筆者)
  • 公式裁定は、それ自体をカウントするのかしないのかという、あるあるな質問ですね。
  • 答えとしては単純にカウントすると。他にメモリコストを持つプログラムか、あるいはMUを増やすカードが存在しないなら、インストール時に載るパワーカウンターは3つということですね。

おわりに

《セキュリティ試験》と《ドーナツ・タガーネス》の各裁定、覚えていただけたでしょうか?

  • 1つの事象の置換によって得られる効果は1つだけ
  • 「ターンごと、最初に」がチェックする事象が何かに置換されたあとも、依然として1回目の事象としてカウントはされている
  • 別のサーバーに移動する系は、最後にたどり着いたところへのランが成功したと考える
  • 条件節能力と常時効果は、常時効果を先に解決
  • X=X+1

これだけ覚えてしまえばいろんなカードの処理に困らないですし、というか、あの全然ビギナー向けじゃないビギナーズガイドを乗り越えて、拡張まで購入しているあなたならこんなの楽勝でしょう。他におわかりにならないことがあれば、Twitter(Fobby @RemoveNDiscard)や後述の質問箱からぜひ。



アンドロイド:ネットランナー終了については言及しませんでしたが…もう少しお待ちを…


質問箱

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読み方

  • このブログは、Fantasy Flight Games社および株式会社アークライトと一切関係がありません。筆者(Fobby @RemoveNDiscard)がすべての文責を負います。
  • このエントリ中の引用タグ内の日本語カードテキストはすべて拙訳であり、株式会社アークライトとは一切関係がありません。ただし、書式のみ、その製品を参考にしています。
  • このエントリ中の《》内は、公式カード名です。公式に和名のあるものは《確実なギャンブル/Sure Gamble》のように併記します。
    • 和名がわからないものは、拙訳したものをカッコ外に書きます。
      • 例:《Sure Gamble》勝ち確のバクチ