アンドロイド:ネットランナー『カンパラの支配 / Kampala Ascendant』私的ルーリング解説(非公式 FAQ ではありません)
追記(2018/08/02)
非公式FAQ(実質公式FAQ)が更新されました。このエントリも無駄にはなりませんが、裁定の変更もあったため、UFAQも併せてご覧ください。
removeanddiscard.hatenablog.com
はじめに
通常であれば各拡張の販売に伴い各カードの裁定を示す非公式 FAQ (といっても実質公式 FAQ )が公開されるのですが、前サイクル同様、サイクルの最後の拡張である『カンパラの支配』は日本のみ先行発売となります。
このことから、『カンパラの支配』に収録されているカードは、あるカードの特定状況下での作用から、そもそもどういった意味を持つカードなのかといったものまでを含む裁定が、未発表の状態で日本語版の発売を迎える可能性があります。事実、レッドサンド・サイクルの最終拡張はそのようになり、特に《修復》の扱いに苦労させられました。
マジな話、このゲームは裁定を参照しないと遊べないゲームなので、わたしたち日本勢は、正確でないルールでネットランナーをプレイさせられる恐れがあるということになります。
とはいえ、この拡張のカードにはさほど複雑な記述もないことから、現状のルール理解だけで問題なく遊べると思われます。それでも、第 2 版から参入されたプレイヤーの方々にはちょっと紛らわしいかなと思われるところもあります。そこでわたし(Fobby @RemoveNDiscard)が解説させていただきます。念のため質問箱のアドレスも付記しますので、不明点やこの記事へのツッコミなどございましたらお願いします。
Fobbyの質問箱です | Peing -質問箱-
後に非公式FAQが公開されたなら、別途それを訳したり、補足する記事を書く予定です。
《◆ゼロ/◆Zer0》
ハードウェア
, 1ネットダメージを受ける:1を得てカードを2枚引く。この能力は1ターンに1度だけ使える。
コスト:1 アナーク影響: 3
《◆Zer0》ルール解説
このダメージはコストなので妨害してはダメ
1ネットダメージを受けることは、《Zer0》の消費型能力を発動させるためのコストです。そのため、このネットダメージを妨害した場合、ランナーは《Zer0》からの効果を得られません。
ダメージを受けることは、ダメージを与えることではない
《トーリ・ハンゾー / Tori Hanzo》は《Zer0》のネットダメージをブレインダメージに置換することができません。「コーポがダメージを与える/do」ことで発動する条件節能力は、「ランナーがダメージを受ける/suffer, take」ことでは発動しません。
2枚目以降の《◆Zer0》にも意味がある
《Zer0》が持つのは1ターンに1度のみ発動できる消費型能力ですが、「1ターンに1度のみ」の制限は、別の《Zer0》という名前のカードの能力には適用されません。
そのため
- 1クリック目で《Zer0》を発動したあと、
- 2クリック目で別の《Zer0》をグリップからインストールすることで最初の《Zer0》をトラッシュ(このトラッシュは妨害できません)、
- 3クリック目で2枚目の《Zer0》を発動させる。
といったことが可能です。
ユニークカードは場に2枚存在できません。2枚目の《Zer0》がインストールされると、1枚目の《Zer0》はただちにトラッシュされます(妨害できません)。
なお、「新しいものがインストールされるとただちに古いものがトラッシュされる」というルールは、コンソールには当てはまりません。コンソールで同じことをしようとすると、新しいコンソールのほうがトラッシュされます(妨害不可)。
《アミーナ/Amina》
2 :コードゲートのサブルーチンを 3 つまでブレイクする。
2 :強度 +3。
各ターン、これで全てのサブルーチンをブレイクしたアイスとのエンカウントが最初に終了した時、コーポは 1 を失う。コスト:7 メモリー: 1 強度: 3 クリミナル影響: 4
《Amina》ルール解説
失えないなら、失いません
コーポのクレジットプールが空である場合には、条件が満たされても《Amina》は何もしません。コーポの所有クレジット額はマイナスになりません。
たとえば《NBN: ニュースを生み出す/NBN: Making News》や《アドニスキャンペーン/Adonis Campaign》のようなコーポのカードに搭載されているクレジットには、何も影響しません。
《予算の流用 / Diversion of Funds》
イベント:ダブル-ラン-破壊活動
このイベントをプレイするための追加コストとして、を消費する。
HQ にランを行う。成功した場合、カード群にアクセスする代わりに、コーポに 5 まで失わせ、そして君は失われた 1 クレジットにつき 1 を得てよい。コスト:1 クリミナル影響: 5
《予算の流用 / Diversion of Funds》ルール解説
発動させなくともよい
このゲームのプレイヤーは、その所有クレジットがマイナスになることはありません。そのため、 《予算の流用/Diversion of Funds》は、5未満しか所有していないコーポに5を失わせることができません。その場合でもランナーはコーポのクレジットプールを空にすることはできますが、もうひとつの効果によってランナーが5満額を得ることは不可能になります。
そのため、これをプレイしたはいいが、ランの最中にコーポのクレジットが想定外に消費されるなどして、ランは成功したもののクレジットを失わせることがあまり効果的でないと判断することもあるでしょう。
《予算の流用/Diversion of Funds》は任意の能力(してよい / may)であるため、そのような場合にランナーはHQのカード群へ通常どおりアクセスすることを選択できます。
当然ながらその場合も《予算の流用 / Diversion of Funds》はトラッシュされます。
最高で 5 まで失わせる能力
これを発動させた場合、ランナーはコーポから0~5までの任意の額を失わせることができ、その後、失われた額と同額のクレジットをそのランナーは得ます。そのためコーポが3しか持っていないような場合にもこれは使用でき、その場合はランナーは0~3のうち任意の額を失わせ、その後、そのランナーは失われた額と同額の0~3を得ることができます。
《PADコネクタ/PAD Tap》
リソース
各ターン、コーポがカードの能力によってクレジットを最初に得た時、君は 1 を得てよい。
, 3:これをトラッシュする。コーポのみがこの能力を使える。コスト:0 クリミナル影響: 1
《PADコネクタ/PAD Tap》ルール解説
日本語版の大規模エラッタが必要
ネットランナーでは、クレジットを「得る / gain」ことと「受け取る / take」ことは別のキーワードとして処理されます。そして《PAD Tap》は「得る / gain」ことによってのみ発動します。
しかしながら、ネットランナー日本語版では、 "gain" と "take" いずれのキーワードも、「得る」に統一して翻訳しています。そのため、このカードは日本語環境では正しく機能しません。
基本セット第2版収録のカードのみが一応の対応を受けており、それまで「得る」と翻訳されていた "take" はすべて「受け取る」に訂正されました。そのため同名のカードでありながら、旧版と第 2 版でテキストの記述が異なるカードが存在します。しかし、現在も使用可能な旧版のカードはエラッタされていません。
なお悪いことには、それ以降に発売された拡張を見る限り、 "gain" と "take" の混同は現在も続いており、それらは修正もエラッタもされていません。アークライトからは何のアナウンスもありません。わたしたちはクレジットを「得た」のか「受け取った」のか、テキストからは判別ができないのです。
さいわい、後述する手段を用いてテキストに依存することなく「得る」と「受け取る」のどちらが発生したかを見分けることができます。くれぐれも、クレジットを「受け取った」時に《PAD Tap》を発動させないでください。
さいわい「得る / gain」と「受け取る / take」の見分け方は簡単
《アドニスキャンペーン / Adonis Campaign》《デイリーキャスト / Daily Casts》のように、インストール済みのカードの上に搭載されているクレジットは、条件が満たされた時にプレイヤーが「受け取る / take」ものです。
それら以外はすべて「得る / gain」クレジットです。任務からのクレジットはすべて「得る / gain」ものです。また、《PAD キャンペーン/PAD Campaign》のようにインストール済みのカードの効果であっても、その効果がバンクから直にプールへとクレジットを供給するのなら、それは「得る / gain」ものです。《PAD Tap》はこれらによってのみ発動します。
"take from X" は「X からを得る」と訳されている
それでも「受け取る」か「得る」かわからなくなった場合は、テキストに「このカードから 2 を得る」と書かれているかどうかチェックしてみてください。それは "Take 2 from this card." のなごりで、すなわち「このカードから 2 を受け取る」と訳されるべき記述だったと思われます。「(カード名)から得る」と記されているクレジットでは、《PAD Tap》は発動しないと見ていいでしょう。
これをトラッシュする能力のコストはコーポが払う
ネットランナーの黄金律に、相手の所有物をコストとして支払うことができないというものがあります。このカードをトラッシュする能力を発動させるためのコスト「, 3 」は、コーポのターンに、コーポのプレイヤーが払うものです。
《奪還/Reclaim》
リソース
, , グリップのカードを 1 枚トラッシュする:ヒープから、プログラムかハードウェアか仮想のリソースを 1 つ、インストールコストを払ってインストールする。
コスト:0 シェイパー影響: 2
《奪還/Reclaim》ルール解説
ネットランナーの基本ルール
ランナーのカードに「グリップのカードを 1 枚トラッシュする」との指示があれば、どのカードをトラッシュするかは常にランナーが選びます。トラッシュされたランナーのカードは、表向きにヒープに置かれます。
《暴動の鎮圧 / Riot Suppression》
任務:報復-触法
ランナーが直前のターンにコーポのカードを1枚以上トラッシュしていた場合にのみプレイする。
ランナーは次のターンに消費するが3少なくなる。ランナーはただちに 1 ブレインダメージを受けることで、これを妨害してよい。暴動の鎮圧をトラッシュするかわりにゲームから取り除く。コスト:2 HB 影響: 4
《暴動の鎮圧 / Riot Suppression》ルール解説
ブレインダメージを受けるのはこの任務を突きつけられたその時です
原文には「immediately(ここでは、「ただちに」としました)」と書かれているのですが、日本語版にはこれに相当する語がないので、どのタイミングでランナーがブレインダメージを受けるのか微妙にわかりづらくなっています。
実際には、このカードをプレイされたその場で、ランナーはブレインダメージを受けます(それをそのランナーが望んだのであれば)。次のランナーのクリックが補充されるターンのタイミング構成[1.1]時点でランナーがブレインダメージを受けることはありません。
このブレインダメージを妨害したら、クリックは失われてしまう
「ランナーはただちに 1 ブレインダメージを受けることで、これを妨害してよい。 / The Runner may immediately suffer 1 brain damage to prevent this. 」は「A することで、 B してよい / do A to do B」の書式であることに注意してください。
この書式が示すように、ここでのブレインダメージは《暴動の鎮圧》を妨害するために支払うコストです。もしこのダメージを妨害してしまうと、ランナーは次のターンで消費できるクリックが 3 少なくなります。
《ムティ・ムクウェンドゥ:生命の改良/Mti Mwekundu: Life Improved》(Mti Mwekundu = red wood)
ID:部署
1 ターンに 1 度、ランナーがサーバーにアプローチした時、そのサーバーを守る最内殻の位置に、すべてのコストを無視してアイスを 1 つインストールしてよい。ランナーはそのアイスへのアプローチになる。
ジンテキ 最小デッキ枚数: 45 影響値上限: 15
《Mti Mwekundu: Life Improved》ルール解説
これが裸のサーバーにアイスを置いたら、ジャックアウトできません
アイスに守られていないサーバーへランナーがアプローチしているとき、《Mti Mwekundu》がそのサーバーにアイスをインストールしたことで、ランナーがそのアイスへのアプローチをせまられた場合、それはこのラン中の最初のアイスへのアプローチとなります。
ランごとの最初のアイスへのアプローチではジャックアウトができないので、コーポがそのアイスのレゾコストを払ってレゾできるなら、ランナーはコーポが「後出し」したアイスとのエンカウントを強制されます。
《ムリンジ/Mlinzi》(Mlinzi= protector)
アイス:セントリー-対人
ランナーがスタックの一番上から 2 枚のカードをトラッシュしない限り、 1 ネットダメージを与える。
ランナーがスタックの一番上から 3 枚のカードをトラッシュしない限り、 2 ネットダメージを与える。
ランナーがスタックの一番上から 4 枚のカードをトラッシュしない限り、 3 ネットダメージを与える。コスト: 7 強度: 5 ジンテキ影響: 3
《ムリンジ/Mlinzi》ルール解説
スタックが空なら、ネットダメージが確定します
各サブルーチンが要求するだけの枚数のカードがスタックにない場合にそれらサブルーチンを解決したら、ランナーはネットダメージを受けなければいけません。
これは、《ロキ / Loki》のサブルーチンが要求する「ランナーがグリップのカードすべてをスタックへ加えてシャッフルしない限り~」の条件を、グリップが 0 枚の時に満たすことができないという裁定にならっています。
追記(2018/08/02)
《ロキ》の裁定が変更されました。これによりスタックに1枚でもカードがあれば、《ムリンジ》のどのサブルーチンからのネットダメージであろうと、それを拒否するためにスタックのトラッシュを選べることになりました(スタックに1枚でもカードがあれば)。詳しくは
removeanddiscard.hatenablog.com
おわりに
ルールはそんなに難しくないんですが、 "gain" と "take"の区別についてはかなりどうしようもないですね。
- コストとしてのダメージを妨害したら、効果を受けられなくなる
- 「ダメージを与える / do damage」とは、「ダメージを受ける / suffer damage / take damage」とは異なる事象を指している
- ネットランナーにはクレジットを「受け取る / take」ことと「得る / gain」ことがある
- 日本語版では、両者の訳しわけがなされていないので、正しく遊べない
- 《暴動の鎮圧》でダメージを受けるのは、その場ですぐ
- これも日本語版だけで生じうる疑問
- ジンテキに最初のアプローチを強制された場合、ランナーはジャックアウトできない
こんな感じ。いずれにせよ、非公式 FAQ が出たらそちらをきちんと訳します。
質問箱
Fobbyの質問箱です | Peing -質問箱-
アンドロイド:ネットランナーのルールについてご相談なさりたいことがあればお気軽にお願いします。また、このブログのエラーなどお気づきの際はお教えいただけるとたいへん助かります。
読み方
- このブログは、Fantasy Flight Games社および株式会社アークライトと一切関係がありません。筆者(Fobby @RemoveNDiscard)がすべての文責を負います。
- このエントリ中の引用タグ内の日本語カードテキストはすべて拙訳であり、株式会社アークライトとは一切関係がありません。ただし、書式のみ、その製品を参考にしています。
- このエントリ中の《》内は、公式カード名です。公式に和名のあるものは《確実なギャンブル/Sure Gamble》と併記します。
- 和名がわからないものは、拙訳したものをカッコ外に書きます。
- 例:《Sure Gamble》勝ち確のバクチ
- 和名がわからないものは、拙訳したものをカッコ外に書きます。
米テレビドラマ『ビリオンズ』S03E05にて『アンドロイド:ネットランナー』のプレイ場面が描写される
ウィキペディアより
ビリオンズ(原題:Billions)はアメリカのテレビドラマシリーズ。第1シーズンは2016年1月17日から、第2シーズンは2017年2月19日からショウタイムで放送。日本ではネットフリックスで配信される。
ストーリーはニューヨークのヘッジファンドに対する司法捜査と訴訟合戦であり、検察官プリート・バラーラとファンド代表者スティーブ・コーヘンの合戦を大まかに基にしている。
動画(Vimeo)
セリフ拙訳
ネットランナーの大会はここ?
はい。
テイラー・メイソンの名前で予約済み。
確認します。入れます。
4クレジットを支払って《アドニスキャンペーン》をレゾして、12クレジットを置き、3金を受け取る。
なるほど。
僕がモデルなんだ。このアドニスは。
ネットランナーのジェリー・ウェストね。
強制ドロー。インストール。アドバンス2回。
強気ね。1クリック目、ドロー。2クリック目、《造物主の眼》。
おや。
ごめんなさい。
なぜ?
運。
運には限りがあると思うが。
結構。ではR&Dにラン。2クレジットを支払って、《ウォール・オブ・スタティック》を《ペーパークリップ》でブレイク。3+3+1クレジットを支払って、《ゴルディアン・ブレード》で《トールブース》をブレイク。
アクセスするか?
手の内を明かす?ええ、もちろん。
動画内容の解説
両プレイヤーの宣言が非常に丁寧
まずこれ。カード名の宣言、クレジットの支払い先の宣言、クレジット受け取り理由の宣言、強制ドローの宣言、クリックを何に対し消費するかの宣言、ラン中にどのアイスにどのアイスブレイカーを使用したかの宣言など…。
きちんと発声していて、感銘すら受けました。こういう風にプレイするべきゲームだったんだなと感心して、個人的にも参考にしています。
IAAやアクセス直前という、盛り上がる場面を描いている
コーポの攻勢を意に介さないランナーに対し、コーポのプレイヤーが不満げです。これは当然です。
《アドニスキャンペーン/Adonis Campaign》は放置しておくとコーポにクレジットを供給するため、早いうちにトラッシュしたいカードです。さらにこのターン、コーポはIAAを行っています。IAA、すなわち同一ターン内にカードをインストールしてそれを2回アドバンスする行為は、コーポからの挑戦です。
このシーンでランナーがやるべきことは、どちらかの遠隔サーバーにランをすることです。アドバンスされたカードにアクセスするか、もしくはレゾされた《アドニスキャンペーン/Adonis Campaign》にランをしてトラッシュするか。
ですがランナーはここで《造物主の眼/The Maker's Eye》を使いR&Dへのランを試みます。コーポにしてみれば、なぜここでR&Dなのかと口頭で問いたくもなるでしょう。両者の思惑のすれ違いが描かれています。
ランの成功直前、コーポは意味ありげに、ジャックアウトしてもいいんだぜという調子でアクセスを行うかどうか確認します。コーポのIDは《Custom Biotics》なのでデッキにジンテキのカードは入っておらず、となればR&D内のアンインストール状態でアドバンスもされていないカードにそこまで警戒する必要はないように思えるが…というところで終わり。続きが気になります。
Call Kotaku
ネットランナーをほんの数分の小道具として用いたにしてはあまりにもよくできているのでびっくりしたのですが、Kotakuの記事によるとドラマの制作陣はちゃんとトッププレイヤーを呼んで監修してもらったとのことです。だからコーポのドローフェイズのことを「強制ドロー/mandatory draw」と呼ぶような、プレイヤー間から生まれた用語も使用されたんですね*1
www.kotaku.com.au
細部にこだわるのはすごいと思いますが、ネットランナーを知っている人ならすごく面白いかわりに、そうじゃない人には凝りすぎてて何がなんだかよくわからないシーンになったような…
*1:いちおう、強制ドロー/mandatory drawは日本語化されているカードテキストにも正式に採用された用語ではありますが
『アンドロイド:ネットランナー』拡張: ナルバーレの囁き / Whispers in Nalubaale - 非公式FAQ / UFAQ - 拙訳 - 日本語版の誤訳を勝手にエラッタ
追記:日本語版を勝手にエラッタ
日本語版を手に入れました。訳に違和感のあったものを勝手に訂正します。
《ゲブレセラシェ》
日本語版
:ゲブレセラシェはインストール状態の AI でないアイスブレイカー 1 つに搭載する。
搭載されたアイスブレイカーの強度は、各エンカウントの終了時ではなく、各ターンの終了時にそれの基本強度に戻る。
拙訳
:ゲブレセラシェをインストール状態の AI でないアイスブレイカー 1 つに搭載する。
ホストのアイスブレイカーの強度は、各エンカウントの終了の際ではなく、各ターンの終了に際しそれの基本強度に戻る。
理由
まず「A は B に搭載する。」というのは能力でなく、《個人的接触》のような A をインストールするための条件のように読めます。ここは「A を B に搭載する。」とするべきです。細かいことですが。
キーワードとして「搭載されている / hosted」という語が存在します。カードにそう書かれていた場合はそのカードに搭載されている(そのカードの上に置いてある)物件/objectを参照します。このキーワードと酷似する「搭載されたアイスブレイカー」という記述は、まるで《ゲブレセラシェ》にアイスブレイカーが搭載されているかのような誤解を招きます。
そもそも原文は "host icebreaker" であり、これを「搭載されたアイスブレイカー」と訳すのも不自然。これは単純に、「ホストのアイスブレイカー」とすべきでしょう。
また、「時 / when」という言葉は原文になく、これもキーワードなので、使うべきではありません。後述。
おまけ。《ゲブレセラシェ》は改良/modとしては例外的なカードなので、ざっと使用方法を説明しますと、
- 《ゲブレセラシェ》は、インストール時に他のカードと一切の搭載関係を持つことがない。一般的なカード同様にインストールする。
- その後、ランナーは《ゲブレセラシェ》が持つ能力を使うことで、《ゲブレセラシェ》を、インストールされているアイスブレイカーの上に搭載することができる(任意のアイスブレイカーの上に《ゲブレセラシェ》を載せる)。
- そうすることではじめて、《ゲブレセラシェ》のホストであるアイスブレイカー(《ゲブレセラシェ》の下に置かれているアイスブレイカー)は、効果を得る。
- なお、《ゲブレセラシェ》の能力は、何らかのアイスブレイカーに搭載されているあいだもアクティブであるため、を消費することで、ランナーはこれを他の任意のアイスブレイカーの上に移動させることが可能。
《ジャックポット!》
日本語版
ジャックポット !を1 つトラッシュする。
拙訳
ジャックポット!をトラッシュする。
理由
日本語では、例えば「カード」と書かれているだけではそれが1つか複数かわかりません。翻訳状の配慮として原文にない「1つ」がつけられたと思われますが、これはルールの上では不適切です。
そもそもリファレンスガイドにある「自己参照語」のルールにより、カードテキストにそのカードの名前が登場した場合はそもそもそのカード1つのことしか指さないことから、「1つ」と限定する必要はありません。
しかも、リファレンスガイドには、テキストがそのカード名を参照する際に「追加の修飾 / additional modifier」が行われているなら、そのカード名は同名の他のカードを指しうるとされています。カード名を「1つ」と修飾はしてはいけないのです。
この修飾があるからといって、条件が満たされたとき、今回そこからクレジットを受け取ったわけではない他の《ジャックポット!》を1つトラッシュするようなことはできません。
《ラーンブ》
日本語版
エンカウントの終了時まで
拙訳
エンカウントの終了まで
理由
「時」に相当する "when" は原文にありません。時 / when は条件節能力の発動条件を示す語であるため、むやみに用いられるべきでないものです。
はじめに
キタラ・サイクル第5の拡張の裁定が出ました。《フリーダム・クマーロ / Freedom Khumalo》《ジャックポット! / Jackpot!》《ゲブレセラシェ / Gebrselassie》のように露骨に裁定待ちのカードもあったり、《ムワンザ・シティーグリッド / Mwanza City Grid》のようにFFGの宣伝ページでうたわれていたことと効果が違うカードもあり、裁定を待ちわびていました。このゲームは裁定を読まないと遊べないと改めて思わされました。
今回の裁定から特に重要なところだけ先に要約してしまうと
《フリーダム・クマーロ / Freedom Khumalo》
- 計画書はトラッシュできない。
- レゾコストが負の値になっているコーポのカードも、0個のウィルスカウンターを取り除くことでトラッシュできる
- 場にウィルスカウンターあるいはそもそもインストール状態のランナーのカードが存在しなくとも、ランナーは0個のウィルスカウンターを取り除くことができる。
《ゲブレセラシェ / Gebrselassie》
《ジャックポット! / Jackpot!》
- 計画書に変換された、もともと計画書でないカードを得点エリアに加えることでも発動できる。
《ムワンザ・シティーグリッド / Mwanza City Grid》
- この強化自体を含め、強化にアクセスしてもコーポは2得る(なので、通常のランならコーポは10得る)。
《遠隔執行 / Remote Enforcement》
- アイスをレゾするための追加コストを無視しない。そして "you may do A and do B" の効果なので、追加コストを拒否することでレゾしないことを選択したとしても、残りの効果をすべて解決できる。
《コンパイル / Compile》
- 「山札を探した場合、それをシャッフルする。」 を今後は省略していくかもしれない(山札をサーチしたら、記述がなくても残りの効果解決前にただちにシャッフルする)。
こんな感じでしょうか。
元記事
ナルバーレの囁き:ルーリング
《フリーダム・クマーロ:クリプト・アナーキスト / Freedom Khumalo: Crypto-Anarchist》
ID:サイボーグ • リンク:0 • 山札下限:45 • 影響上限:15 • アナーク
1ターンに1度、君の任意の数のインストール状態のカードの上からX個のウィルスカウンターを取り除くことで、アクセスしているカードをコストなしでトラッシュしてよい(通常トラッシュできないものでも)。Xはそのカードのレゾコストかプレイコストである。
《フリーダム・クマーロ / Freedom Khumalo》はアクセス中の計画書をトラッシュできますか?
いいえ。計画書はレゾコストもしくはプレイコストを持ちません。
ウィルスカウンターがまったくない、あるいはインストール状態のカードがまったくない場合、ランナーはレゾコストもしくはプレイコストが0のカードを、《フリーダム・クマーロ / Freedom Khumalo》でトラッシュすることはできますか?
はい。
Twitter裁定からの追記:ランナーが《ブレイカーベイ・グリッド / Breaker Bay Grid》によってレゾコストが負の値になっているカードにアクセスしている場合、《フリーダム・クマーロ / Freedom Khumalo》はそれをトラッシュできますか?
はい。コストが負の値であるカードを《フリーダム・クマーロ / Freedom Khumalo》でトラッシュする場合、ランナーはウィルスカウンターを0個取り除きます。《フリーダム・クマーロ / Freedom Khumalo》は「Xすることで、Yしてよい/do X to do Y」との書き方から、実際にはコストを支払うことで発動する能力です。
Freedom is indeed a cost - check out nested costs on page 10 of the Rules Reference. Anything in the form “do X *to* Y” (to being the operative word) means that X is a cost to get effect Y.
— Project ANCUR (@ANR_RulesWiki) 2018年5月10日
《雑菌混入 / Contaminate》
イベント • コスト:1 • アナーク:1
ウィルスカウンターを搭載していないインストール状態のランナーのカード1枚の上に、ウィルスカウンターを3つ置く。
ランナーのインストール状態のカードがウィルスのプログラムしかなく、さらに《Hivemind》の上にウィルスカウンターが載っている場合に、ランナーは《雑菌混入 / Contaminate》をプレイできますか?
いいえ。
《スリップストリーム / Slipstream》
リソース:仮想・コスト:0 • クリミナル:2
レゾ状態のアイスを通過するたび、スリップストリームをトラッシュしてよい。そうした場合、通過したアイスと同じ位置にある、中央サーバーを守っているアイスを1つ選ぶ。君はそのアイスへのアプローチになる。
エンカウント中にアイスがアンインストールされた場合、《スリップストリーム / Slipstream》は機能しますか?
いいえ。エンカウント中のアイスがデレゾかアンインストールされると、そのアイスはただちに通過されますが、それはもはやレゾ状態のアイスではないので、《スリップストリーム / Slipstream》の発動条件は満たされません。
《スリップストリーム / Slipstream》はアイスの位置をどのように決めますか?
アイスの位置は常に最内殻から最外殻に向けてカウントされます。
では、3つのアイスがある遠隔サーバーの最外殻をランナーが通過した場合、そのランナーは単独でHQを守っているアイスへアプローチできないのですか?
その通りです。その場合、最低3つのアイスが中央サーバーを守っていないと、ランナーは《スリップストリーム / Slipstream》を使用できません。
*Twitter裁定を追記:《インバーシフィケイター / Inversificator》と《スリップストリーム / Slipstream》でアイスを通過したら、そのアイスを最内殻に移動させ、《スリップストリーム / Slipstream》で他のサーバーの 1 枚目の位置に行けますか?
いえ。《スリップストリーム / Slipstream》は通過されたアイスを具体的に参照します。そのためランナーの現在位置にあるアイスが《スリップストリーム / Slipstream》の解決前に代わったら、参照されるのはその新しいアイスです。
訳注:難解ですが、《インバーシフィケイター / Inversificator》で中央サーバーの最外殻のアイスを最内殻のものと交換したあと、《スリップストリーム / Slipstream》でその最内殻のアイスにアプローチになることはできないということを理屈抜きで覚えてしまえばよさそうです。
Nope. Slipstream specifically references the passed piece of ice, so if the ice in the runner’s current position changes before Slipstream resolves, then the new ice is the one it refers to.
— Project ANCUR (@ANR_RulesWiki) 2018年5月31日
《ラーンブ / Laamb》
プログラム:アイスブレイカー-フラクター • コスト:4 • 強度:2 • MU:2 • シェイパー:2
アイスとエンカウントした時、2を払うことで、エンカウント終了までそれにバリアを得させてよい。この能力は1ターンに1度だけ使える。
2:バリアのサブルーチンを任意の数だけブレイクする。
3:強度+6。
《ラーンブ / Laamb》がエンカウント中のアイスにバリアを与えるためには、《ラーンブ / Laamb》の強度がそのアイスと一致していなければいけませんか?
いいえ。ちょうど《ファム・ファタル/Femme Fatale》のアイス迂回と同様、《ラーンブ / Laamb》の「エンカウント時」の能力はアイスの強度にかかわらず使用可能です。
《ラーンブ / Laamb》でアイスにバリアを付与したあと、ランナーは《ペーパークリップ/Paperclip》をヒープからインストールできますか?
いいえ。そのアイスは、《ペーパークリップ / Paperclip》の能力の発動条件が満たされかける時点でバリアではありません。
《ゲブレセラシェ / Gebrselassie》
ハードウェア:改良 • コスト:1 • シェイパー:4
: インストール済みのAIでないアイスブレイカーの上に《ゲブレセラシェ / Gebrselassie》を搭載する。
ホストのアイスブレイカーは各エンカウントでなく、各ターンの終了に際しその基本強度に戻る。
《ゲブレセラシェ / Gebrselassie》は、正しくはホストのアイスブレイカーにどのように作用しますか?
《ゲブレセラシェ / Gebrselassie》はエンカウント終了と共にアイスブレイカーが基本強度へとリセットされるという出来事を、ターン終了と共にリセットされることへと置換します。これは、基本ルールの適用される持続時間が指定されていない強度上昇や、エンカウント終了までと明示されている強度上昇(《Takobi》のような)を含みます。
常時的な強度修整の能力(《ナノテク/Na'Not'K》のような)や、通常とは異なる持続時間を指定するホストのアイスブレイカーの強度修整能力に対しては、《ゲブレセラシェ / Gebrselassie》はいかなる効果も持ちません。
では《ゲブレセラシェ / Gebrselassie》と《Dean Lister》のようなカードはどのように作用しますか?
《ゲブレセラシェ / Gebrselassie》は《Dean Lister》との相互作用を持ちません。ランナーが《ゲブレセラシェ / Gebrselassie》を搭載しているアイスブレイカーを《Dean Lister》の効果対象に選択した場合、《Dean Lister》の効果はランの終了まで維持され(必要に応じて再計算はされます)、そして他のあらゆる通常の強度上昇は《ゲブレセラシェ / Gebrselassie》の効果が適用されます。
例:《ゲブレセラシェ / Gebrselassie》は《ペーパークリップ/Paperclip》に搭載され、ランナーはグリップに5枚の状態でDean Listerを《ペーパークリップ/Paperclip》に使用した。ランナーは2を《ハドリアンズ・ウォール/Hadrian's Wall》突破のために支払わなければならない。《ハドリアンズ・ウォール/Hadrian's Wall》とのエンカウント終了後、《ペーパークリップ/Paperclip》は強度8を残す。この内訳は、基本強度の1+《Dean Lister》の強度5(ランの終了まで)+自身の能力による強度2(エンカウント終了までではなく、代わりにターン終了までと修整ずみ)、である。ランの終了後、《ペーパークリップ/Paperclip》は強度3に戻る。この内訳は、基本強度の1+自身の能力による強度2、であり、《Dean Lister》の5は効果時間が切れて無効となる。
《コンパイル / Compile》
イベント:ラン • コスト:2 • シェイパー:3
ランを行う。このラン中に最初にアイスにエンカウントした時、スタックかヒープからプログラムを1つ探し、全てのコストを無視してインストールしてよい。このランの終了時、そのプログラムがまだインストールされている場合、それをスタックの一番下に加える。
《コンパイル / Compile》によってカードをサーチした(探した)あと、ランナーはスタックをシャッフルしなければいけませんか?
山札のカードを探すルールによれば、サーチが実行されたのち、残りの効果が開始される直前に、その山札はシャッフルされなければいけません。
《論理爆弾 / Logic Bomb》
リソース:仮想 • コスト:0 • Adam: 5
:現在エンカウント中のアイスを迂回する。残りのクリックを全て失う。
ランナーは残りのを所有していない場合に《Logic Bomb》を使用できますか?
はい。残りのを失うことは効果の一部であり、コストの一部ではありません。
《ジャックポット! / Jackpot!》
リソース • コスト:0 • 中立:0
君のターン開始時、ジャックポット!の上に1を置いてよい。
計画書が君の得点エリアに加えられるたび、任意の数のクレジットをジャックポット!から受け取ってよい。そうした場合、ジャックポット!をトラッシュする。
《評判 / Notoriety》や《Director Haas》ハース取締役のような、盗むことを介さずにランナーの得点エリアに加えられるようなカードによって、《ジャックポット! / Jackpot!》は発動しますか?
はい。
《ジャックポット! / Jackpot!》は《情報交換 / Exchange of Information》で発動しますか?
いいえ。
《遠隔執行 / Remote Enforcement》
計画書:保安・アドバンス要求:4・計画ポイント:2・HB
遠隔執行を得点した時、「R&Dからアイスを1つ探し、それを遠隔サーバー1つを守るようにインストールし(インストールコストは払う)、そしてそのレゾコストを無視してそれをレゾしたら、R&Dをシャッフルする」をしてよい。
《遠隔執行 / Remote Enforcement》は、計画書の放棄なしで《アーチャー/Archer》をレゾできますか。
いいえ。《遠隔執行 / Remote Enforcement》で《アーチャー/Archer》をインストールして計画書を放棄しなかった場合、それは非レゾ状態を維持します。
《ファトゥマ管理人 / Warden Fatuma》
資財:人物 • コスト:1 • トラッシュ:5 • HB: 2
レゾ状態のバイオロイドの各アイスは、他の全てのサブルーチンの前に「可能なら、ランナーはを失う。」を得る。
《ファトゥマ管理人 / Warden Fatuma》がレゾされているあいだ、《ロキ/Loki》が他のバイオロイドからサブルーチンをコピーした場合、《ロキ/Loki》は「可能なら、ランナーはを失う。」のサブルーチンをいくつ持ちますか?
《ロキ/Loki》は2つのサブルーチンを持ちます。1つは《ファトゥマ管理人 / Warden Fatuma》からのもの、もう1つは他のバイオロイドのアイスからコピーされたものです。
《ウィルスの兵器化 / Viral Weaponization》
計画書:調査-保安 • アドバンス要求:4 • 計画ポイント:2 • ジンテキ
《ウィルスの兵器化 / Viral Weponization》を得点したターンの終了時、グリップのカード1枚につき1ネットダメージを与える。
コーポが《Genetics Pavilion》をレゾしている場合にそのコーポが《ウィルスの兵器化 / Viral Weaponization》を得点したら、《まだましな事態/I've Had Worse》のトラッシュによってランナーが引くカードは2枚ですか、3枚ですか?
ランナーは3枚すべてのカードを引きます。《ウィルスの兵器化 / Viral Weaponization》はコーポのディスカードフェイズ、ステップ3.4に発動し、それはまだコーポのターンの一部です。
《ムワンザ・シティーグリッド / Mwanza City Grid》
強化:領域 • コスト:0 • トラッシュ:5 • ジンテキ:1
HQかR&Dのルートにのみインストールする。
ランナーがこのサーバーのカード群にアクセスするたび、そのランナーは追加で3枚のカードにアクセスする。
アクセス後、アクセスされたカード1枚につき2を得る。
これは、ランナーがこのラン中に《Mwanza City Grid》をトラッシュしても適用される。
領域は各サーバーに1つまで。
ランナーがアクセスしたカードのいずれかをトラッシュした場合、コーポは依然としてトラッシュされたカード1枚につき2を得られますか?
はい。トラッシュされたカードは、もはやそのサーバーに無いにも関わらず、依然としてアクセスされたものです。
《ムワンザ・シティーグリッド / Mwanza City Grid》へのアクセスを、それの能力で追加でアクセスするカードの1枚とカウントできますか?
いいえ。強化は中央サーバーのルートにインストールされており、中央サーバーの中にはありません。
中央サーバーのカードとしてアクセスされたカード同様、R&DかHQのルートにインストールされた各強化からコーポは2を得られますか?
はい。《ムワンザ・シティーグリッド / Mwanza City Grid》の第1の能力がそのサーバーそのものへの追加アクセスを供給するあいだ、第2の能力はそのアクセスフェイズ中にアクセスされたカードすべて、すなわち《ムワンザ・シティーグリッド / Mwanza City Grid》そのものや、そのサーバーのルート内の他の強化をカウントします。
《ムワンザ・シティーグリッド / Mwanza City Grid》の能力は《NASX》の発動条件を何度満たしますか?
一度です。《ムワンザ・シティーグリッド / Mwanza City Grid》はアクセスをカウントし、そして適切な額のクレジットすべてを一度に、アクセスフェイズの完結後にコーポに供給します。
例えば《Metamorph》などで、《ムワンザ・シティーグリッド / Mwanza City Grid》がアーカイブのルートにインストールされることになった場合は何が起こりますか?
ランナーはもともとアーカイブのカードすべてにアクセスしますから、追加のカードにアクセスする能力は何も付与しません。しかし、ランナーがアクセスしたアーカイブとそのルートにあるカード1枚につき、コーポは2を得ます。
では《ムワンザ・シティーグリッド / Mwanza City Grid》が遠隔サーバーにインストールされることになった場合はどうなりますか?
アーカイブ同様、ランナーはもともと遠隔サーバーにインストールされているカードすべてにアクセスします。
追加アクセスは起こりませんが、そのサーバーのアクセスされたカード1枚につきコーポは2を得ます。
なるほど、でもコーポが《Gagarin Deep Space: Expanding the Horizon》でプレイしていたら?
《Gagarin》は《ムワンザ・シティーグリッド / Mwanza City Grid》の機能を変えることはありません。ランナーは1を遠隔サーバー内のアクセスしたいカード1枚につき払う必要があります。アクセスの終了後、ランナーが支払いによってアクセスしたカード1枚につきコーポは2を得ます。
《通常の手順 / Standard Procedure》
任務 • コスト:0 • NBN: 2
ランナーが直前のターンにランを成功させた場合のみプレイする。
カードタイプを指定して、グリップを公開する。指定したカードタイプを持つグリップのカード1つにつき2を得る。
《通常の手順 / Standard Procedure》のために、コーポはゲーム内に存在しないカードタイプを指定できますか?
いいえ、ですがコーポのカードタイプを指定することはできます。
《マズビンゴ / Masvingo》
アイス:バリア • コスト:3 • 強度:3 • ウェイランド:2
マズビンゴはアドバンス可能。
マズビンゴのレゾ時、その上にアドバンストークンを1つ置く。
マズビンゴはその上のアドバンストークン1つにつき「ランの終了。」を1つ得る。
《Hernando Cortez》が課す、《マズビンゴ / Masvingo》をレゾするための追加コストはどうなりますか?
《マズビンゴ / Masvingo》の上にどれだけアドバンストークンが載っているかに関係なく、《Hernando Cortez》はいかなる追加コストも課すことはありません。《マズビンゴ / Masvingo》の能力は、レゾされるまではアクティブではありません。
終わりに
いくつか補足(文責:筆者):
《フリーダム・クマーロ:クリプト・アナーキスト / Freedom Khumalo: Crypto-Anarchist》
- コストが負の値である場合、プレイヤーが実際に支払うコストは一律で0になるというルールがあります。そのため、コストがマイナスになっているカードにアクセスしそれを《フリーダム・クマーロ/Freedom Khumalo》でトラッシュする場合、ランナーはコストとして0個のウィルスカウンターを取り除けばよい、ということになります。
- ただし、そのカードのコストは依然として負の値であるため、《RNGキー/RNG Key》で数字あてをする際は、0でなく、正しい数字を宣言する必要があります。
- コストがXであるカードはプレイされる時のみ変化し、そうでない時はコスト0のカードとして扱います。ですから、コストがXであるアクセス中のカードを、《フリーダム・クマーロ/Freedom Khumalo》は0個のウィルスカウンターを取り除くことでトラッシュできます。
《雑菌混入 / Contaminate》
- 《Hivemind》とその上のウィルスカウンターが存在する場合、他のウィルスのプログラムは「《Hivemind》の上のウィルスカウンターをそのプログラムが搭載しているものと見なす」の効果から逃れられないということでしょう。
《スリップストリーム / Slipstream》
- 《カクゴ / Kakugo》について、微妙に正確ではないものと思われます。
- 《カクゴ / Kakugo》を通過したはしたが、そのネットダメージ能力の発動のタイミング到達より先に、ランのタイミング構成が「アイスへのアプローチ」の時点へと到達していることにより、《カクゴ / Kakugo》は発動できないと考えるべきでしょう。
《ゲブレセラシェ / Gebrselassie》
《論理爆弾 / Logic Bomb》
- エンカウント時能力を解決したあと、アイスブレイカーを使用可能になるタイミングで使用可能です。なので、例えば《トールブース/Tollbooth》に3払う効果を無視できません。
《コンパイル / Compile》
- ヒープからカードをインストールしたのならば、スタックをシャッフルしません。
《ジャックポット! / Jackpot!》
- リファレンスガイドによれば「盗むとは、ランナーがアクセスした計画書を自分の得点エリアに加える行為です。」とあるので、計画書を盗むことでも発動できます。
《ムワンザ・シティーグリッド / Mwanza City Grid》
- 2番めの質問の意図が分かりにくいのですが、「追加でアクセスする3枚のカード」のうちこの強化を「追加でアクセス」とカウントして逃げることはできないという意味であると思われます。
《通常の手順 / Standard Procedure》
- なぜこのような質問が出たかというと
- 《Panchatantra》というプログラムが「セントリーでもコードゲートでもバリアでもないサブタイプをアイスに1つ付与する」という効果を持ち、それが「これまでこのゲームに登場していないサブタイプでも付与可能」というルールであったことから(エルフでもマーフォークでも)、《通常の手順 / Standard Procedure》にもそのような効果が期待されたというのがひとつ。
- コーポは余分なクレジットを得ると損をする場合があるので、クレジットを得ずにグリップだけ確認したいという場合に使用したいという需要があるのがもうひとつ。
とにかく《ゲブレセラシェ / Gebrselassie》が長かった…。
次のパックでキタラ・サイクルも一段落です。日本語版は先行発売なので、最後のパックの裁定が出るのは後回しになると思われますが、現在判明している限り最後のパックのカードは分かりやすいものばかりなので、まあだいじょうぶだと思われます。
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読み方
- このブログは、Fantasy Flight Games社および株式会社アークライトと一切関係がありません。筆者(Fobby @RemoveNDiscard)がすべての文責を負います。
- カード画像はすべて、以下の考えのもと引用したものです。
- 『アンドロイド:ネットランナー』のプレイには、FAQおよび非公式FAQと呼ばれるサポートが欠かせませんが、いずれのサポートも日本語で行われる様子がありません。このため、英語環境でプレイしている人間による草の根の周知活動が必要です。
- ですが悪いことに、カードの和名が非購入者に公開されていないという問題があります。これが次のような障壁を生みます。
- 例:筆者は《Scavenge》のルール説明を行うが、日本語環境プレイヤーには《Scavenge》と言われても何のことかわからない。《Scavenge》の日本語名は公式に公開されていないので、筆者としてもこのカードを何と呼べば日本語環境プレイヤーに通じるのかわからない。
- こういった齟齬を埋める唯一の解決策は、カードを引用画像で紹介することです。これによって言語に依存せずカードを特定して解説可能です。
- 日本語環境プレイヤーが「購入したゲームを正しいルールで遊ぶ」というあるべき権利を行使できるようにとの、いわば公益を目的としているため、カード画像の引用は適正と考えます。
- このエントリ中の引用タグ内の日本語カードテキストはすべて拙訳であり、株式会社アークライトとは一切関係がありません。ただし、書式のみ、その製品を参考にしています。
- このエントリ中の《》内は、公式カード名です。公式に和名のあるものは《確実なギャンブル/Sure Gamble》と併記します。
- 和名がわからないものは、拙訳したものをカッコ外に書きます。
- 例:《Sure Gamble》勝ち確のバクチ
- 和名がわからないものは、拙訳したものをカッコ外に書きます。