アンドロイド:ネットランナー-先行販売に備え、キタラ・サイクル4拡張の裁定や、わかりにくいところをおさらい
ゲームマーケットでキタラ・サイクルの拡張が4つ先行販売されるとのことなので、非公式UFAQの拙訳を再度紹介するとともに、それらを補足するこの記事を書きました。第2版から入ったかたは、このエントリと各拡張の非公式FAQ拙訳4つ、合計5つのエントリすべて読んでください。そうでないと遊べません。
非公式FAQ拙訳
removeanddiscard.hatenablog.com
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「統治者の景色/Sovereign Sight」補足
《何が何でも/By Any Means》
このターンが終了するまで、アーカイブ内のものでないカードにアクセスするたび、君はそれをコストなしでトラッシュし(通常トラッシュできないカードであっても)、そして1ミートダメージを受ける。
一度発動したら、トラッシュ能力は強制
- トラッシュする能力は、「してよい」の任意条件節能力ではないことに気をつけてください。ランナーはカードへのアクセス時に必ずそれをトラッシュし、1ミートダメージを受けます。これをプレイしたターン、ランナーは計画書を盗むことはできません(アーカイブ内のものでない限り)。
待ち伏せ/ambushを無効化できる
- 《罠!/Snare!》のように「このカードにランナーがアクセスした時、」の条件を持つコーポのカードの能力を無効化できるという珍しい効果を持ちます。
- 処理について説明します。《何が何でも/By Any Means》のようなランナーのカードの「アクセス時」の条件節能力と、《罠!/Snare!》のようなコーポのカードの「アクセス時」の条件節能力は、発動タイミングが同一です。
- 同一のタイミングで発動する2つ以上の能力があるとき、ポイントになるのが「そのターンを進行しているプレイヤーのカードを先に解決する」というルールです。
- ランは通常であればランナーのターンに行われるものです。そのため、ターンを進行しているプレイヤーのカードである《何が何でも/By Any Means》が優先して解決されるというわけです。
- 《何が何でも/By Any Means》によるトラッシュが行われたあと、アーカイブにあるコーポのカードの「このカードにランナーがアクセスした時」の能力はもはや解決されません。このため、《罠!/Snare!》は無効化されます。
常時能力は無視できない
- ただし、コーポのカードに「このカードにランナーがアクセスした場合、」とある能力は無視できません。その能力を先に解決してから、《何が何でも/By Any Means》を解決します。
- 能力を表す文に「時」「たび」などが使われていなければ、それは常時能力です。常時能力は、ターンを進行するプレイヤーが誰であるかを問わず、条件節能力より優先して解決されるのです。
先行/priorityについて。
- このカードを《お決まりのヤツ/Same Old Thing》でヒープからプレイすることはできません。そのターンの最初のクリックは、《お決まりのヤツ/Same Old Thing》に対し消費されたと見なされます。
- また、先行/priorityは「そのターンに最初に消費するクリック」を用いてのみプレイ可能という裁定があります。
- どういうことかというと、《ワイルドサイド/Wyldside》により1クリックを失っている場合でも、残りのクリックは依然として「そのターンに最初に消費するクリック」です。残った最初のクリックを使えば《何が何でも/By Any Means》はプレイ可能というわけです。
- このゲームでは、クリックを失う/loseことと、消費/spendすることが区別されることにご注意ください。
《パッファー/Puffer》
パッファーの強度とメモリーコストは、その上のパワーカウンター1つにつき1ずつ増える。
《Assimilator》アシミレーター
, :君の裏向きのインストール状態のカードを表向きに返す。そのカードがイベントである場合、それをトラッシュする。
- この拡張の発売時点で、日本語環境においてランナーのカードを裏向きにインストールすることのできるカードや効果はありません。
- 日本語環境のみでプレイされているのであれば、このカードのことは、しばらく忘れてください。
《アーサ・グループ/Asa Group》
各ターン、最初に君がカードをインストールした時、HQの計画書でない追加のカード1枚を、そのサーバーの内部か、そのサーバーを守るようにインストールしてよい。
- あんまりうまく訳せなかった…。
次のように読みかえ可能。
- 君が強化、資財、計画書、アイスのうちいずれかを、各ターン最初にインストールした時に発動する。そのカードをインストールしたサーバーの中に追加の資財か追加の強化を、あるいはそのサーバーを守っている位置に追加のアイスを、いずれか1つ選んでインストールしてよい。
- 旧基本セットの《HB:未来を設計/HB: Engineering the Future》を再デザインしたカードと言っていいでしょう。
- コーポの手札からインストールする効果です。HQにインストール済みのアイスや、HQのルートにインストール済みの強化を他のサーバーに移し替えていいというわけではありません。
- サーバーの中のカードというのは、強化か資財、もしくは計画書のことです。ただし、《アーサ・グループ/Asa Group》は計画書を追加でインストールすることができません。
- サーバーを守っているカードというのは、常にアイスのことのみを指します。
中央サーバーのルートは、中央サーバーの内部ではないことに注意
- 中央サーバーの強化とは、中央サーバーのルートにインストールされます。中央サーバーの中にありません。
- 例:HQを守るアイスをインストールしたとき、《アーサ・グループ/Asa Group》はHQのルートに強化をインストールすることはできない。
- ただし、HQのルートに強化をインストールしたとき、《アーサ・グループ/Asa Group》はそのHQを守るアイスをインストールすることが可能。
- 例:HQを守るアイスをインストールしたとき、《アーサ・グループ/Asa Group》はHQのルートに強化をインストールすることはできない。
《Ikawah Project》イカワー計画
《Ikawah Project》を盗むための追加コストとして、ランナーはと2を消費しなければならない。
追加コストは支払いの拒否が可能
- 追加コストの支払いはいつでも拒否することができるため、それを拒否することで、ランナーは計画書を盗まないことを選択できます(通常の計画書にアクセスしたランナーは、それを必ず盗まなければならない)。たとえ追加コストの支払いが可能な場合でも拒否できます。
- 効果でなく、コストです。なのでたとえば、と1しか持っていないときにこれにアクセスしたランナーは、それらを消費することはありません。
- これは、《確実なギャンブル/Sure Gamble》に1だけを支払うことができないのと同じです。
追加コストを払わなかったことをランナーは公開しない
- ランナーがR&D内の《Ikawah Project》のような追加コストを課す計画書にアクセスし、その支払いを拒否した場合、そのランナーは計画書にアクセスしたことも、追加コストを支払わなかったことも、いずれもコーポに伝える必要はありません。
- 任務にでもアクセスしたかのようなフリをしていてOKです。
《遺伝子接合機/Gene Splicer》、《Echo Chamber》エコーチェンバー
得点したことにはなりません
- これら資財を計画書に変換/conversionして得点エリアに加えることは、計画書を得点することではありません。《ジンテキ:個人改革/Jinteki: Personal Evolution》のような能力は発動せず、また、現状/currentのイベントはトラッシュされません。
《Mganga》ムガンガ
君とランナーは秘密裏に0か1、もしくは2を払う。君とランナーが異なる額を払った場合、2ネットダメージを与え、そうでない場合、1ネットダメージを与える。ムガンガをトラッシュする。
「白ナイルを下って/Down the White Nile」補足
《Emergent Creativity》創造性の発露
任意の数のプログラムかハードウェアをグリップからトラッシュする。スタックからプログラムかハードウェアを1つ探し、そのインストールコストを、トラッシュした任意の枚数のカードの合計インストールコストぶんだけ下げてインストールする。スタックをシャッフルする。
エラッタあり
- 修正前:任意の数のプログラムかハードウェアをグリップからトラッシュする。
- 修正後:任意の数のプログラムやハードウェアをグリップからトラッシュする。
- プログラムとハードウェアを混ぜてトラッシュしてもよいということ。
- 修正後:任意の数のプログラムやハードウェアをグリップからトラッシュする。
任意の数/any numberはゼロを含みます
- 任意の数は0を含むため、プログラムやハードウェアを1枚もトラッシュせず、ただサーチを行い、そのプログラムやハードウェアのインストールコストを全額支払ってインストールすることができます。
《RNGキー/RNG Key》
各ターン、最初にHQかR&Dへのランが成功した時、数字を指定してよい。そうした場合、君が次にアクセスするカードを公開する。それが指定した数字に等しいレゾコスト、プレイコスト、あるいはアドバンス要求を持っている場合、3を得るかカードを2枚引く。
「公開」の定義
- インストール状態のカードは、たとえそれがレゾされていなくとも「公開」できません。
- 「公開」は非インストール状態のカード、例えばR&DやHQなどのカードに対して使用される効果です。
- ランナーが次にアクセスするカードが、ルートの強化、すなわちインストール状態のカードである場合、公開は失敗し、そして能力は対象を失います。対象でなくなったその強化の持つ数字は一切参照されず、3や2枚ドローの効果を得ることもできません。
- 英語圏でもルール解釈にかなり揉めたようで、非公式FAQの追記が行われました。
《Economic Warfare》経済戦争
可能なら、ランナーは4を失う。
4未満しか持っていないランナーに対しては使えません
- 可能なら/if ableとは、「書かれていることを完全に解決する。それができない場合は、何もしない」ということを示します。
- ランナーから4失わせることができない場合、何も起こりません。何も起こらないということはゲーム状況が変化しないということなので、そもそもこのカードをプレイすることができません。
- 仮にこのカードが「ランナーは4を失う」であれば、4クレジット未満しか所有していないランナーのクレジットプールを空にすることができたのですが。
《企業の「助成」/Corporate "Grant"》
各ターン、君がカードを最初にインストールした時、コーポは1を失う。
イベントはインストールされません。
- 現状/currentのイベントもまたプレイされるだけで、インストールされたものとは見なされません。
- よって、このイベントがプレイされることは、このイベントの能力が発動される条件とは関係ありません。
「頂の会議/Council of the Crest」補足
《Friday Chip》フライデー・チップ
君がコーポのカードをトラッシュするたび、《Friday Chip》にウィルスカウンターを1つ置いてよい。
現状/currentをトラッシュするのはランナーではない
- 頻出質問として、「コーポの現状/currentがトラッシュされたら、《Friday Chip》や《Consume》は発動するのか?」というものがあります。
- 答えとしては発動しません。コーポの現状/currentを見てみましょう。
このカードは他の現状/currentがプレイされるか計画書が盗まれるまでトラッシュされない。
This card is not trashed until another current is played or an agenda is stolen.
- このように誰がトラッシュするのか書かれていません。大原則として、主語がない指示は、カードの持ち主がその処理を行います。よって、現状/currentをトラッシュするのはそのカードのオーナーです。
《No One Home》無人の家(?)
各ターン、最初に任意の数のタグを受けかけるか、任意の点数のネットダメージを受けかけた時、君は《No One Home》をトラッシュすることでコーポに「トレース0- 失敗した場合、ランナーは任意の数のタグを回避するか、任意の点数のネットダメージを妨害する」をさせてよい。
非公式FAQにない質問をJacob Moriss氏にさせていただきました
- 問:何も起きていないにも関わらず、0タグを受けたと主張して《No One Home》を使用できますか?任意の数は0を含むはずです。
- 答:いいえ。《No One Home》は妨害/回避の効果であるため、妨害/回避できる事象が発生しない限り使用できません。
- 問:ランナーがラン中に《データ・レイヴン/Data Raven》から1タグを受けましたが、《No One Home》を使用しませんでした。同じランのさなか、次いでそのランナーが《幽霊支社/Ghost Branch》から2タグを受けたとき、ランナーは「自分の『任意の数』は2であり、これがこのターン最初に受けた任意の数のタグだ」と主張して、ここで《No One Home》を使用できますか?
- 答:いいえ。それはそのターン2回めに受けた「任意の数のタグ」です。
《マラソン/Marathon》
遠隔サーバーにランを行う。そのランの終了時、そのランが成功していた場合、を得て、マラソンをトラッシュするかわりにグリップに加える。このターンの残りの間、君はそのサーバーへ新たなランを行えない。
《Degree Mill》学歴商法?
《Degree Mill》を盗むための追加コストとして、ランナーはインストール状態のカード2枚をスタックに加えてシャッフルしなければならない。
追加コストについて
- インストール状態のランナーのカードが2枚未満である場合、ランナーは全てのコストを適正に払うことができないので、《Degree Mill》は盗まれません。そのまま、元のサーバーに戻します。
- コストであり効果でないため、1枚しかランナーのカードがインストールされていないなら、それをスタックに加えてシャッフルすることはありません。その他、追加コスト支払いの拒否についてなどは先述《Ikawah Project》を参照。
《個人専用ポータル/Personalized Portal》
君のターン開始時、ランナーはカードを1枚引き、そして君はグリップのカード2枚につき1を得る。
《個人専用ポータル/Personalized Portal》が3枚ある場合
- 解決は割り込まれません。ターン開始時、グリップにカードが2枚ある場合の例を以下に示します。
《Death and Taxes》死と税
このカードは他の現状/currentがプレイされるか計画書が盗まれるまでトラッシュされない。ランナーがカードを1枚インストールするか、インストール状態のカード1枚をトラッシュするたび、君は1を得てよい。
現状/currentについて
- 通常のイベントと違い、プレイされることで場に残り続けます。「他の現状/currentの任務かイベントがプレイされる」か、もしくは「相手プレイヤーが計画書を得点する/盗む」が発生するまで、効果を発揮し続けます。
- トラッシュさせる方法が限られているので、現状/currentの対策としては自分も現状/currentをデッキに組みこむのが最も手っ取り早いでしょう。
イベントはインストールされない
- 繰り返しになりますがイベントはインストールされないので、このカードの能力とは関係ありません。
「悪魔と竜/The Devil and the Dragon」補足
《419》
各ターン、最初にコーポがカードをインストールした時、コーポが1を支払わない限りそれを開示してよい。
解決順序
- コーポがカードをインストールする
- ランナーは望むなら《419》を発動させる
- コーポは1を払うか、カードを開示する
非公式FAQにない質問をJacob Moriss氏にさせていただきました
- 公共/publicの計画書は開示されません。にも関わらず、公共/publicの計画書をインストールした時、《419》が発動したのなら、コーポは1を払うことができます。
《Consume》コンシューム
君がコーポのカードを1枚トラッシュするたび、《Consume》にウィルスカウンターを1つ載せてよい。
Whenever you trash a Corp card, you may place 1 virus counter on Consume.
《Friday Chip》と以下まったく同じ…現状/currentをトラッシュするのはランナーではない
- 頻出質問として、「コーポの現状/currentがトラッシュされたら、《Friday Chip》や《Consume》は発動するのか?」というものがあります。
- 答えとしては発動しません。コーポの現状/currentを見てみましょう。
このカードは他の現状/currentがプレイされるか計画書が盗まれるまでトラッシュされない。
This card is not trashed until another current is played or an agenda is stolen.
- このように誰がトラッシュするのか書かれていません。大原則として、主語がない指示は、カードの持ち主がその処理を行います。よって、現状/currentをトラッシュするのはそのカードのオーナーです。
《Bio Vault》化学保管庫(?)
遠隔サーバー内にのみインストールする。
《Bio Vault》はアドバンス可能。
, 搭載されているアドバンストークン2つ:ランの終了。
特定のサーバー1つを強化するのではない
- この能力は、「このサーバーへのランの終了。」ではありません。「ランの終了。」です。つまりいかなるランをも終了させることができます。
質問箱
Fobbyの質問箱です | Peing -質問箱-
アンドロイド:ネットランナーのルールについてご相談なさりたいことがあればお気軽にお願いします。また、このブログのエラーなどお気づきの際はお教えいただけるとたいへん助かります。
読み方
- このブログは、Fantasy Flight Games社および株式会社アークライトと一切関係がありません。筆者(Fobby @RemoveNDiscard)がすべての文責を負います。
- カード画像はすべて、以下の考えのもと引用したものです。
- 『アンドロイド:ネットランナー』のプレイには、FAQおよび非公式FAQと呼ばれるサポートが欠かせませんが、いずれのサポートも日本語で行われる様子がありません。このため、英語環境でプレイしている人間による草の根の周知活動が必要です。
- ですが悪いことに、カードの和名が非購入者に公開されていないという問題があります。これが次のような障壁を生みます。
- 例:筆者は《Scavenge》のルール説明を行うが、日本語環境プレイヤーには《Scavenge》と言われても何のことかわからない。《Scavenge》の日本語名は公式に公開されていないので、筆者としてもこのカードを何と呼べば日本語環境プレイヤーに通じるのかわからない。
- こういった齟齬を埋める唯一の解決策は、カードを引用画像で紹介することです。これによって言語に依存せず特定のカードを紹介可能です。
- 日本語環境プレイヤーが「購入したゲームを正しいルールで遊ぶ」という権利を行使できるようにとの、いわば公益を目的としているため、カード画像の引用は適正と考えます。
- このエントリ中の引用タグ内の日本語カードテキストはすべて拙訳であり、株式会社アークライトとは一切関係がありません。ただし、書式のみ、その製品を参考にしています。
- このエントリ中の《》内は、公式カード名です。公式に和名のあるものは《確実なギャンブル/Sure Gamble》と併記します。
- 和名がわからないものは、拙訳したものをカッコ外に書きます。
- 例:《Sure Gamble》勝ち確のバクチ
- 和名がわからないものは、拙訳したものをカッコ外に書きます。